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- 2020/06/17
一人暮らし、最大の敵に屈する
一人暮らしの一番の敵は、言うまでもなく「孤独」だ。
18歳で上京した当時は定期的に「実家に帰りたいモード」になってしまっていた。20代も後半に差し掛かりそのあたりの対処にはだいぶ慣れていたつもりだったけれど、外出自粛期間が続き友達にもなかなか会えない近頃、久しぶりにそのモードが帰ってきてしまっている。実家というよりも、地元(札幌)に帰りたい。
グーグルアースで故郷へ帰省
1993年生まれの私は、ギリギリ、ネットネイティブな世代だ。大体の問題はテクノロジーで解決できると思っている。ホームシックみたいに、自分の精神的な問題も。
18歳の頃のホームシックには、グーグルアースが役立った。グーグルアースで実家の住所を打ち込んでストリートビューモードにすると、画面には懐かしい景色が広がる。そこから画面上で通学路を歩いて母校の中学校を訪れてみたり、昔飼っていた犬とよく散歩していたコースを歩いて、ああ懐かしい、なんてノスタルジーに浸っていた。
今回のホームシックでも、もちろんグーグルアースを試したが、何かが足りない。地元に帰ることができない上、お家からも出られない今、求めるものが1段階上に来てしまったような感じがした。
ホームシックを共有する深夜
寂しいな、友達に会いたいな、なんて思いながらTwitterのタイムラインを眺めていた深夜。同じく札幌出身で今は東京に住んでいる友達が呟いていた。
「地元のお天気ライブカメラ見てたら、同時に視聴している人が俺以外にも10人いた」
これだ、と思い、急いでYouTubeで「札幌 お天気ライブカメラ」と検索する。
札幌のテレビ局が24時間ノンストップで生配信をするそのチャンネルでは、地元札幌の馴染み深い景色がリアルタイムで中継されていた。
グーグルアースと違って、今、この瞬間の地元の景色だ。
ああ、このデパートのロゴ、懐かしい。外出自粛期間だからか深夜だからか、車が少ないな。あそこのビルはまだ電気が付いている。残業中かな。
映像を見ながらいろんな想像をして、ホームシックだった心は少しだけ満たされた。
そして何より、きっと同じような気持ちで同じページにたどり着いた人たちが、自分以外に何人もいることが、リアルタイムな数字で確認できるのが、何ともほっこりだ。
お天気ライブカメラを配信してくれている誰かへ
一人暮らしの寂しい部屋から出られない日々は、もうしばらく続きそう。
医療従事者の方々や、スーパーで働く皆さんには頭が上がらない。いろんな人が、いろんな仕事で暮らしを支えてくれていることを、毎日痛感する。
お天気ウェブカメラを配信してくれている北海道のテレビ局の人にも、ひょんなところで思いがけず人の心を救っていることと、そのことへの感謝を、ここで伝えたい。本当にありがとうございます。
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