【山崎あおいの日日是好日】第1話:初めての一人暮らし はしゃいだ18歳の痛々しい日々 【Woman.CHINTAI】
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【山崎あおいの日日是好日】第1話:初めての一人暮らし はしゃいだ18歳の痛々しい日々

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シンガーソングライター、作詞・作曲家として活躍する山崎あおいさんが、北海道から上京してからの東京暮らしを、エッセイとして綴る連載。第一話は、はじめての一人暮らしで借りた部屋での出来事を思い出してもらいました。

【ズボラ女、上京する】

子どもの頃から、度を超えてズボラだった。小学校の時に授業で「エコ入浴剤を作りましょう。ミカンの皮を持ってきてください」と先生に言われ、当然乾燥した皮を持ってくるクラスメイト達のなか、一人だけ湿って腐った皮を持っていき、先生を驚かせた。オシャレにも無頓着で、幼稚園生が買う雑誌の付録みたいなリュックを、6年生になるまで使っていた。あまりに見窄らしい格好ばかりしているので、周囲の大人に「お家の人、厳しいの?」などと気を遣われることもあった。ただ私がボーッと生きていただけなんです、ごめんなさい。

そんな私が上京したのは、18歳の頃。東京の大学に進学が決まり、さらには音楽でのメジャーデビューも決まり、北海道の親元を離れることになった。父や母はもちろん、3つ下の、当時中学生だった弟にも心配されながら。

新千歳空港から羽田空港へ
今から約7年前のことです。時が経つのは本当に早い。

線路沿いの1K

はじめての一人暮らしで借りた部屋は、16平米くらいの小さめの1K。3階建マンションの2階だった。音楽活動をするために北海道から上京してきたので、できれば防音・楽器可の部屋が良かったけれど、やはりそういった物件は家賃がお高めで手が届かない。妥協案で選んだのは、小田急がすぐ隣を走る線路沿いの部屋だった。元々うるさい場所だから窓が厚いんです、だからたまに鼻歌くらいだったら大丈夫ですよ、と管理会社の人は言った。

正直、テンションが上がっていた。誰にも邪魔されない、自分だけの家。寂しさはもちろんあったし、公共料金の支払いを忘れずに出来るかとか(結局何度も忘れた)、洗濯物を溜めすぎてしまわないかとか(恐ろしいほどに溜めた)自分のズボラさへの不安もあった。けれども、それを上回るくらいに、一人で生活ができることが、本当に嬉しかった。実家にいたときは買いづらかった大好きなBL漫画や好きなアイドルの写真集を、堂々と本棚に飾り眺められる幸せ。一人暮らしって最高。

入学式に向かう山崎あおいさん
大学1年生、入学式に向かう朝。と、当時の部屋。後ろのは下着じゃないので。

深夜のねるねるねるね

家族に咎められることなく、余計に心配されることもなく、したいことをしたい時にする。それにはしゃぎ過ぎた私はある日の深夜、ローソクに火をつけ、ねるねるねるね(手順通りに水を入れて作る駄菓子)を作っていた。こんなの、実家でやってしまったら母親が泣いて止めにくるだろう。「怖いからやめなさい!悪魔が来るよ」なんて。

どうしてもやりたくなってしまったのだ。小さなトレーで水をすくって1番の箱へ、そして2番の粉と混ぜる…あの儀式みたいなおかし作りを、本当の儀式らしく。

深夜のねるねるねるね
深夜のねるねるねるね。妖しく光っていてカッコよくないですか?

それらしくしてみたところで味は変わらなかったが、相変わらずねるねるねるねは美味しかった。視覚情報と相反して感じる懐かしい味が、なんだかシュールだった。

究極の幼児退行?

またある日は、離乳食を買い込んで大試食会(参加者1名)を開催した。たまたま立ち寄ったベビーグッズ店で、どうしても美味しそうに見えてしまって。これもきっと実家でやってしまうと、幼児退行が過ぎる、何かものすごいストレスを抱えているんじゃないか、などと余計な心配をかけてしまう行為だと思う。…と言うよりシンプルに、18歳の娘が突然離乳食を買って帰ってきたら、ちょっと気持ち悪いか。ただ興味本位で食べてみたくなっただけなのに。

大人になって食べる離乳食
ももとりんごのデザート。大人だから、普通にももとりんごを食べたほうが美味しかった。

離乳食はあまり美味しくなかった。赤ちゃんの頃はこれが当たり前だったのに、いつの間に味の濃い食事に慣れてしまったのね、嫌ね。反省込みで70点。
たまごボーロは大人になってから食べても美味しい。すごいね、120点。
ベビーカレーはまあ、美味しいけど、普通のがいいや。当たり前だね。50点。

いま思うと、自分なりに寂しさを埋めようとしていたのかもしれない。埋め方をだいぶ間違えている気がするけれど。ただ当時の私にとっては、かなり愉快なイベントだった。自分のお金で無駄なものを買うことも、心から楽しかった。

ズボラは敵じゃない

部屋がいくら散らかっても、外食がいくら続いても、人間、なかなか死なない。ガスが止まって冷たいシャワーを浴びたこともあるけれど、ピンピンしている。ただ「こんなに部屋を散らかしてしまう私」や「自炊さえも満足に出来ない私」は簡単に心を追い詰める。大事なのは、めちゃくちゃでも、めちゃくちゃをそれなりに許しながら生活していくこと。自由を楽しむこと。それを胸に一人暮らしをして8年くらい経つけれど、心が折れない代わりにいつまで経っても「ちゃんとした大人」になれないな。まあ、あまり反省はしていないけれど。

週5で自炊の書き初め
当時の書き初め。「週5で自炊」が達成される日は来なかった。

一人暮らしにはしゃぎ過ぎた私を見守ったこの部屋。2年間住んで退去をした。弟も北海道から上京することになり、姉弟での二人暮らしが始まることになったのだ。

今でもたまに小田急線に乗ると、電車の窓からこの部屋が見える。今の住人も一人暮らしにはしゃいで、バカみたいなことしているのかな。していると良いな。

山崎あおい

著者:山崎あおい
札幌出身、25歳のシンガーソングライター。2012 年8 月メジャーデビュー。透明感のあるピュアな歌声と、リアリティをもったセンチメンタルな歌詞が同世代をはじめ、幅広い層の男女に支持を受けている。また、多数のアイドルグループへの楽曲提供を中心に作詞家、作曲家としても活躍中。
Twitter:@aoi_punclo
公式ホームページ:yamazakiaoi.jp

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