- case
- 2019/12/24
一人暮らしをしながら働いている女性は、どんなライフスタイルを送っているのだろう?
“一人暮らし初心者”の筆者が、ベテランの皆さんの自宅にお邪魔をし、その様子を探る新企画。
第1回は「家族と性愛」をテーマに、さまざまなメディアへ寄稿。映画の舞台挨拶やイベントにも登壇している文筆家・佐々木ののかさんに登場してもらいました。佐々木さんには、これまでの活動背景や暮らしにまつわるお話を伺っていきます。
<プロフィール>
名前:佐々木ののかさん(29歳)
職業:文筆家
居住形態:1人
出没エリア:下北沢・渋谷
<ルームデータ>
所在地:東京都世田谷区
間取り:1K
築年数:50年くらい
家賃:66,000円(共益費込)
公共料金:ガス・電気代 10,000円、水道3,000円
歩いているだけで楽しい。下北沢に戻ってきた理由
――まずは、佐々木さんの暮らしについて聞かせてください。北海道出身とのことですが、いつから一人暮らしを始めたのでしょうか?
18歳の頃、北海道から茨城の大学へ通うとなったときです。その家には、2年くらい住みました。大学を卒業して社会人になったことをきっかけに、東京・綾瀬に引っ越して。綾瀬には会社をやめるまで住んでいましたね。
25歳だったこの時、会社もやめたし実家に戻ろうと思っていたのですが、家を出るまでの1ヶ月間、ライターとして仕事をするようになってからはみるみる元気になり「もう少し東京で頑張ろう」と思ったんです。
ただそこから半年間はハウスレス(注:経済的困窮の意)で、60リットルのリュックを持って友達の家や漫画喫茶など、都内を放浪する日々を送っていました。その後貯金が溜まってきた2015年12月に、下北沢に引っ越しました。
――半年も家がなかったとは。ちなみになぜ、下北沢を選んだのでしょうか。
北海道に住んでいた頃から、雑誌を通して「古着屋と言えば下北沢!」というイメージを持っていて、憧れだったんです。東京に遊びに行く時、必ず下北沢に寄っていたくらい。なので、とにかく憧れの下北沢に住みたかったんです。しかも「下北沢に行けたらいい」ではなく下北沢に住みたかった。
引越しの条件としては「家賃が安い」ことも必須で。この2つの条件だけで家探しをしていたので、風呂なし・和式トイレ・築60年のボロアパートに1年間住むことになりました。変な人が多くて、暑い日にドアが全開になっていて、覗いたら全裸のおじさんが座っているような家(笑)。
その後は女友達と荻窪に数ヶ月住んだり、代官山のシェアハウスで過ごしたり……。代官山のシェアハウスはまるでニワトリ小屋のような見た目で、深夜に体当たりされたり、奇声をあげる人がいたりなど、踏んだり蹴ったりでした。こう振り返ると、変な家ばっかりですね。その後、2018年1月にまた下北沢に戻りました。
――また下北沢に戻ったんですね。
はい。それが今住んでいる家です。いろいろなところを転々として思ったのが、私は本屋と古着屋があって、散歩が楽しい街が好きなんだな、と。下北沢は何も買わなくても、歩いているだけで楽しい街なんです。
あとは下北沢なら、バスや電車が止まったり、災害が起きたりしても何とか都心まで歩ける、と思ったことがきっかけですね。
「家」の概念が変わった一人暮らしの日々
――お部屋を見ると、古そうな家具や雑貨が多いようですが。
家具は古道具屋さんで買っているくらい、昔のものが好きなんです。古いものって「古い」だけでオリジナルだし、家も古い方が好きで……。
家探しをした際、「女性はオートロックのマンションがいいですよ!」と紹介されたものの、「もっとレトロでハートウォーミングな家がいいんです!」と自分で探して決めたくらいです。好きなものを揃えると、落ち着くんですよね。
――佐々木さんは「部屋の持っている条件」というよりは「好きなもの」を重視しているんだな、と思いました。
そうですね。今までは街や家賃の安さなどを重視しすぎて、生命の危機を感じるような、変な家に住んでばかりでしたから(笑)。
当時はそもそも「家」に対しての概念が異なっていて。たとえば、下北沢という家があって、自分の家はリビング兼寝室で、廊下を歩いて銭湯がお風呂、カフェは仕事場……みたいな概念で家を捉えていたんです。
――リビング兼寝室が確保でいればいい、と。
はい。だからこだわりがなかったんですけど……、街が家って、冷静に考えたら広すぎますよね(笑)。歳をとるごとにだんだんその感覚がフィットしなくなってきて、もう少しこじんまりしたいなと思ってきたのかもしれません。大きいお屋敷の掃除が大変なように、体の大きさに合わなかったんじゃないかな。
――なるほど。その「家」の概念が変わったきっかけはあるのでしょうか。
疲れちゃったんです。
代官山に住んでいる頃、ある人から「心と身体がボロボロすぎるよ。壊れちゃうよ、というか、もう壊れているよ」と言われて。何がほしいかを聞かれたとき「住人が怖くない家と、猫!」と答えたら「それは魔法でもないと無理なの?」と。
すぐに家探しを始めて、引き込もれるくらい落ち着く場所を、と住み始めたのが今の家です。
やっと「生活」を始められました。
――初の一人暮らしから約10年。今、初めてちゃんとした「生活」をしていると。
そうですね。例えば今、「ご自愛」という言葉が流行っているけれど、以前は自分への手のかけ方がわからなかったんです。ご飯は食べられればよかったし、スタイルも気にならなかった。要するに、自分のことをよく知らなくて。
「生活」をはじめたことで「疲れたから温かいものを食べようかな」「身体が重くなってきたからジムに通おうかな」と、心の声を聞けるようになりました。
仕事もカフェで行っていたのが、家で過ごすことも増えて。本を読んだり自分の好きな文章を書いたり、自由に過ごす時間も増えています。
「家族と性愛」をテーマに、文筆業を行う理由
――現在、佐々木さんはエッセイやイベント登壇など「家族と性愛」をテーマに活動されていますが、これはどのような経緯だったのでしょうか?
先程お話をした通り、会社を辞めた際、食いつなぐためにライターの仕事を始めたんです。それではじめたての頃は、いわゆる「〇〇をやってみた企画」の取材をしていて。
そこから「家族と性愛」をテーマに書こうと決めて、noteでコツコツ発信をはじめ、2017年から本格的に書いています。
――自身のやりたいことにシフトチェンジをしたのですね。
2016年くらいかな。ライター2年目のときに「このまま顔出しの記事だけではいけないぞ」という危機感があったんです。そのとき、自分が何をやりたいかわからなかったので、今まで書いてきた記事で印象に残っていたものを全部並べて……。
アセクシャル、ポリアモリーなど様々な性愛の形と「どういう風に家族をやろうか」「家族って何だろう」とずっと考えていたのもあり、『家族』と『性愛』だな、って。
しかしその後、家族と性愛には関係がない広告記事を作成した際、私のnoteを見たクライアントから「セックスについて書くなんて、名誉毀損にあたる」と公開前日に言い出されてしまって。
そのとき「私がやりたいことは“公的”には恥ずかしいことなのかもしれない」と感じ、これ以上迷惑をかけたくなかったし、悲しい思いをしたくなかったので、その後は表向きに出す記事は「家族と性愛」だけにすると決めたんです。
あれから数年が経ち、今でこそやりたい記事が増えてきたけれど、シフトチェンジには時間がかかりました。ただ、ここ2ヶ月くらいで「家族と性愛」の記事が全体の3分の1を超えていて……ありがたいですね。
――最後にお聞きします。「生活」をはじめた今、「家族と性愛」を看板に、これからはどのように進んでいきたいですか。
いかに「周縁」の人間でいるかというのを意識したいです。
例えば、特定の分野があったとして、その中心に立つと界隈内の突き上げもすごいし、他分野の人に届けにくくなる。きっと、活動範囲も限定されて動きにくくなると思うんです。
そういう戦い方も素敵だけれど、私は「分断」を縫いたい。界隈の分断もだし、そもそも界隈とそれ以外という分断があると思っていて。なので、映画や演劇といった違うところに行って「家族と性愛」について意識してこなかった人にとってのきっかけでありたいな、と思います。そのためにも、本を出したり、活動を広げたりしながら、裂け目を縫っていきたいです。
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