- case
- 2020/04/17
東京は外出を控えるようにとのお上からのお達しがあり、まるで伊坂幸太郎著の小説『終末のフール』のように人影がまばらな街をベランダから眺めている と、有事であることを改めて思い出し、体に軽い緊張が走ります。
いつもは私のインスタグラムからいただいたお悩みについてコラムを書いていましたが、昨今は稀に見る事態。友だちと会うこともままならず、春うららの時期に外での宴会もできず、突然おうちにいなければならなくなってしまった私たちに、今回はひとりの家での過ごし方について考えたいと思います。
あたし、寂しいのかもしれない
最後のイベントだったレッスンもなくなり、私の予定は真っ白で、穴がぽっかりと空いたみたい。……じゃあ、何しよう。ぼんやり考えていると、忙しさを言い訳に見て見ぬ振りをしてきた、「できていなかったこと」がいくつもある。まるで、お腹の中に残っている消化不良の食べ物のよう。下半身の筋トレ、家具の組み立て、SNSへの投稿、作り置きの節約料理の開発…などさっさと行動すればぜったいできる・変わることを、後まわしにしていました。
カンカン!私のなかの方針議会は満場一致で、ぽっかり空いてしまった時間を、私が後回しにした負債の解消につとめることに決定しました。部屋のなかのものが少しずつ片付いていく様子は、体の中にため込んでいた複数の不純物をていねいに取り除く作業のようで、ひとつ終わるたびに小さな達成感とほっとした安心感が生まれます。よし、これもあれも終わった、しめしめ。
ただ、予想外の問題が起こってきました。あまりにひとりの時間がつづいたためか、むくむくと自分を得体の知れない感情が湧いてきます。
……あれ、あたし、「寂しい」、、?
孤独が物語を作ってゆく
振り返ってみると、仕事柄、私の毎日はつねに誰かといっしょのことが多く、まるまる1日をひとりで過ごすことがめずらしかった。人と会うことはエネルギーが要るけれど、やっぱり楽しいものです。SNSがあるから今でも完全にひとりぼっちにはなりきれないけれど、画面越しの少し盛った生活を見せつけられ続けるのはちょっと胃もたれがするし、自らとのギャップでなおさら孤独を感じてしまう。
孤独という言葉を聞くと、友人のカメラマンの言葉を思い出します。彼女は彼女自身がモデルのようにとっても美しい人(容姿だけでなく、思考も相まって)で、同年代の女性をやわらかく魅力的に映す人でした。ずいぶん前のことですが、ある日を境に彼女のSNS上での活動がぴたりと止んでしまった時期がありました。当時、彼女と一度食事をしたことがあります。
「あたし、幸せだと写真撮れなくなってしまうんですよね」
目の前でパスタを器用に丸めながら、彼女は小さくつぶやきました。聞けば、彼女は恋人ができて、彼女が作ったご飯を美味しそうに食べる人がいて、ひとりの時間がなくなった時、まったく新しい写真を撮ろうという気にならなかったそう。
彼女の言葉が自分のなかにシミのように広がっていきます。私自身にも、恋人がいて家族がいて友人がいて、自然と笑顔がこぼれる関係のときは、表情すらたるんでしまって、なぜか語る・書く言葉が中身の薄いぺらっぺらなものになってしまうことにひどく悩んだことがありました。逆に、ひとりの時間がつづき、「寂しい」「会いたい」などの気持ちがつづくと、自分の納得のいく文章を書き上げられる。…変なの。そういえば、ある映画監督も「(作品を作るには)もっと孤独にならなければ」と、言っていたな。「寂しい」と感じる気持ちは何かを作るにはうってつけの状態なのかもしれません。
どうせなら、孤独を持てあまさない
孤独はいっぺん気づいてしまうと、うまく逃れることは難しい。真夏の夜の虫みたいに振り払ってもずっとくっついてくる。だから、私は孤独をうまく消化するために、物語を書くことにしました。好きな人に会えない孤独に世界が支配されている今、自分が過ごした時間を振り返って、新しい物語に落とし込んでみる。
今は孤独が推奨されるまったくめずらしい事態です。もし、みなさんが長期戦のひとりの時間に飽きてしまったり、寂しさを感じるようなら、何か作ってみるのはどうでしょうか。別に誰に発表なんてしなくていい。物語でもいいし、室内で撮れるムービーや フィルム写真もいい。イラストや漫画とかも素敵です。自作のレシピの発明なんて最高ですね。プロの方たちはWeb会議ツール「ZOOM」をつかった演劇なんて、すごい発想も出ています。
いつか平時に戻ったときにはバカバカしく思えてしまうものかもしれません。もしかすると、新しい自分の可能性を見つけてしまうかもしれません。孤独は創作のエンジンになり、自分の世界を作る過程は寂しさを埋めてくれます。とつぜん与えられた孤独の時間、おうちというフィールドを生かして何かを作ってみる。それって、ひとり時間の有効活用じゃない?…なんて、勝手に思っています。
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