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【ひとりぼっちの私たちへ】第4回:散らかった部屋にげんなりしてしまう夜に

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3月も中盤に入り、いよいよ年度末。みなさん、4月からの新入生や後輩が入るための準備や1年間のまとめの作業で忙しない日々を送っていることと思います。私もフリーランスのお仕事の締めとも言える確定申告の書類に悪戦苦闘、今までこまめに記録や仕分けをしてこなかった過去の自分を呪いながら作業をしています。

今日のお悩みはそんなお仕事で忙しい日々のまっただなかにいる女の子からの相談です。
「毎日夜遅く仕事から帰ってくると、片付いていない部屋にげんなりします。どうしたら片付くようになるでしょうか?」

ふーむ……。決して自身の部屋が片付いているとは言えない「ズボラの極み」を体現したような筆者がこの相談に答えるのも、かなりおこがましいのですが、あえてズボラなりの視点から考えてみたいと思います。

それ、今片付けなきゃいけないの?

ワンルームに寝転がる女性

私が相談者さんに言いたいのは、「毎日のお仕事、本当にお疲れ様…!」。そして、もう1つ、「その片付けは、少しあとまわしにしましょ」

まず、げんなりしてしまう原因を考えてみましょう。どうして帰ってきたときに部屋が散らかっているのか。

夜遅くに仕事から帰ってくる(体力ゲージはほぼ0)→着ていた服や辛うじて食べたご飯の残骸が放置される→そのまま寝る→ギリギリの時間に起きて準備→仕事→夜遅くに帰ってくる……こんなYouTubeにも上げられないほどの過酷な生活のルーティーンを3日もくり返せば、雑然とした部屋のでき上がりです。

思うに、相談者さんの散らかった部屋とは一朝一夕にできるものではなく、疲れによる「めんどくさい」が重なって作りあげられてしまったもの。これを片付けるにはけっこうな時間と労力が必要です。でもその片付けって、「今、すぐ!」じゃなくてもいいような気がします。

忙しいときほど片付けたい

ワンルームのカーテンを開けようとする女性

忙しいときほど片付いていない部屋が気になってしまうこと、よくわかります。

私も以前、取材や撮影のお仕事で深夜に帰宅し、朝5時ごろから書き散らかした原稿を見直し、そのまま提出……と、恥ずかしながらそんな生活がつづいていたものだから、気づいたときには部屋はぐちゃぐちゃ。壁側のスペースに実家から送られてきた食材や本や資料の入った段ボールが山積みに、床は飲みかけのペットボトルや日用品がちらばり、ダンスのような小刻みで複雑なステップを踏まなければ通ることができず、友人からは「イトウの部屋、まじドンキホーテだよね」と評されるほどでした。

ある晩、体力を使い果たし、ポケモンだったら「ひんし」の状態で玄関を開けると、目に飛び込んできたのは黒いなまこのようなフニャッとした物体。まさか…ゴキ…と恐る恐る近づくと、昨晩の「ひんし」状態の私が脱ぎ捨てた靴下でした。その先にズボン、シャツ、あろうことか下着…と玄関からリビングまでヘンゼルとグレーテルが置いてった目印のように息絶え絶えに通った形跡があるのです。思い切って、リビングのドアを開けると、ここだけ竜巻が吹いたかのような散らかりよう。ドンキホーテもびっくりだわ、こりゃ未来のボーイフレンドを招くことすらできないじゃない!

「やばい、これは片付けなきゃ」

そう奮起してまずはベッドの上から、と手をつけた午前1時。でも部屋の中に転がっているものは、特定の居場所がないから「とりあえず」置いておいたアイテムたち。片付けよう、と勇んで持ったジャケットもいつか目を通そうと放置していた契約書もどこにも居場所がなく、「ひんし」の私には適切な居場所を作るだけの頭もない。そうして、気がつけばただベッドの上に転がっていたものが移動し、山盛りにものが積まれた机が生まれただけでした。

とりあえずは、段ボールに詰め込んで

 ワンルームで日向ぼっこをする女性

事実、部屋が片付いていないことは、集中力が散漫になったり、気分も落ち込むやすくなったりするそう。ものやその配置にこだわりがとっても強い人意外はおすすめはできません。

相談者さんは、とても真面目で、何事にも真摯に取り組まれる方なんだろうな、と推察します。できることなら自分で自分のことを把握しておきたい・整えておきたいと思うからこそ、部屋の散らかりが気になるのだと思います。そんな相談者さんが仕事から帰ってきて、自分の最も大切なテリトリーである部屋が散らかっている……これだけで相当なストレスだと思います。

でも、今すぐにご自身に片付けを強要しなくてもいいのではないでしょうか。過去の私のように、たまった片付けには意外と労力がかかるものです。そして、疲れているときの無理した片付けはあまり効率的ではありません。推測ですが、片付けをする時間が取れないほど忙しい時はおそらく期間限定。きっと、今必死に頑張っている山が終われば、落ち着いた時間が取れるはず。その時に、体を戻していっせいに片付けをしませんか。

もしよかったら、この正念場が終わるまで、大きな段ボールの中に目の前に散らかっているものを入れて、いったん封をしてしまいましょう。お部屋の中の散らかりがなくなるだけでも気分はずいぶん変わります。相談者さんの山場が終わって、ととのったお部屋で過ごすことができるように、この頑張りどきを乗り切ってほしいな、と思います。

 

著者:イトウハルヒ
2018年『ミスiD2019』文芸賞を受賞後、広告、MV、CM、映画出演など幅広く活動中。最新出演作は戸田真琴監督「永遠が通り過ぎてゆく」。SNSで独特の世界観を表現し、コラムニストとしても活動の幅を広げている。怠惰な顔です、どうぞよしなに。
Twitter:@sakana_dot
Instagram:@as_sakana.dot

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