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- 2019/10/01
シンガーソングライター、作詞・作曲家として活躍する山崎あおいさんが、北海道から上京してからの東京暮らしを、エッセイとして綴る連載。第四話は、社会人として生活し始めてから、初めて引越しをしたときのことを思い出してもらいました。
▼第1話はこちら!
【山崎あおいの日日是好日】第1話:初めての一人暮らし はしゃいだ18歳の痛々しい日々
▼第2話はこちら!
【山崎あおいの日日是好日】第2話:「ジブリみたいな家」と言えば聞こえは良いが。
▼第3話はこちら!
【山崎あおいの日日是好日】第3話:都心で一人暮らし。夢の「シティーガール」的生活
【ミュージシャンを信用してください】
自分のかわいい娘が、ある日突然「この人と結婚したいんです」と連れてきたのがミュージシャンだったら、あなたはどう思うだろうか。ちょっとチャラいんじゃないか。娘を傷つけるんじゃないだろうか。突然「インスピレーションが足りない」とか言って旅に出てしまうんじゃないだろうか。そもそも収入は安定しているのだろうか。
固定給がないのはフリーランスのデザイナーも建築家もカメラマンも、みんな同じはずなのに、ミュージシャンの仕事っぷりには、一際厳しい目が世間から向けられている気がする。それは部屋探しの時に痛感することになった。
【ネーミングの問題でしょうか】
学生時代は、部屋探しに難航することはまずなかった。
両親ともに会社員で安定した収入を得ていて、上京していたといえども私はその二人に養われている大学生。本人が家賃を払えないのであれば親が払うでしょう、というのが常識だったからだろう。
しかし25歳、完全なる「社会人」になってからの部屋探しは、大変なものだった。物件情報サイトで見つけたファミリータイプのマンション。「ここ、申し込んでみたいんですけど」と伝えると、不動産屋のお兄さんが微妙な顔をする。
「ここ審査厳しいんですよね…ミュージシャンだと通らないかもしれません」
中学高校とそれなりにちゃんと勉強をしてきて、大学もしっかり4年(と少し)で卒業し、補導歴もなく逮捕歴もなく、真っ当に生きてきたことだけが取り柄の私にとって、自分の職業を伝えたことで誰かからの拒絶を受けるのは少しショッキングなことでもあった。
「書き方、作詞家に変えましょうか」
そういう問題なのか…?と思いながらも、確かにカタカナで馴染深い「ミュージシャン」よりも「作詞家」の方がなんとなく高貴さをまとっているような気もして、おとなしく職業欄を書き換えた。
【恥ずかしいアピールタイム】
空欄を埋めた申し込み用紙を不動産屋さんから物件の管理会社へFAXすると、早速お店の電話が鳴った。私の職業について話しているようだった。
「ええ。はい。作詞とかをしているみたいで。印税が来月入るみたいなのですが。ですよね。はい。そう伝えます。はい」
私の信用が低いばかりに、不動産屋さんが私の収入を必死にアピールする。アピールするものの、別に安定はしていないのでプラスになっているかどうかは怪しい。恥ずかしくてたまらない気持ちだった。そしてやはり、現在の貯金残高がわかる通帳のコピーと、去年の確定申告の写しと、加えて父の年収がわかる資料の提出を求められた。自立に失敗した気分だ。
【念願叶って】
ありとあらゆる「真っ当に生きてる証拠」を提出し、無事に引越し先が決定した。今は、その部屋に住んでいる。確かに審査が厳しかっただけあって、マンションには変な人が一人もいないし、近隣トラブルもない。きっと皆さん、真っ当に生きてきた方々なんでしょう。
ミュージシャンは住宅ローンも組みづらいというけれど、どうなんでしょうか。
そんなことで悩まなくていいように、一括払いで豪邸を買ってしまえるくらい、圧倒的な大ヒットを出したいものです。
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