- odekake
- 2019/01/22
目次
「ゆっくり」な旅を、ちょっとだけアクティブに
学生時代の修学旅行で思いだすのは陶芸体験、手づくり八橋、おみやげになった染物の数々……。
大人になってからの旅行だと、観光地を見てまわったり、おいしいものを食べたり。景色とか、自然とか、温泉とか、行程もちょっとゆとりをつくったりして。何より「ゆっくりする」が目的になっていたりするんですよね。
せっかくなら地元らしい体験もしてみたいけど、ものすごく「王道」なものじゃなくてもいいんだよなあ……。今回の旅では、久しぶりにふたつの「手づくり体験」に予約してみました! お土産もできてちょうどよい、気軽なワークショップをめぐります。
(こちらの記事は福井観光コンベンションビューローの提供でお送りします!)
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今日訪れたのはこちら
「三七味噌」でゆっくりじっくり、味噌づくり
はじめに訪れたのは、福井駅から徒歩17分のところにある「三七味噌(さんななみそ)」さん。2017年11月にオープンした、福井のお米を使った味噌作りをしている新しいお店です。
シンプルだから、おいしいお味噌
こちらでつくる味噌の材料は基本的に、大豆と米麹とお塩の3つだけ。大豆も、米麹に使われるコシヒカリも、どちらも福井県池田町産のものが使われています。お味噌の材料となる米麹とは、蒸したお米に麹菌をつけて、48時間、温度と湿度を管理しながら菌を繁殖させたもの。この麹を育てる時に37度で管理していることから、お店も「三七味噌」と名付けられたのだそう。
お味噌というと、土地によって「赤味噌」「白味噌」など、特徴があるイメージ。関東に実家のある我が家では、毎日の味噌汁に「あわせ味噌」を使っています。
店主の片山裕一さんに、お味噌の味の特徴を伺いました。
片山さん:「大豆の味が濃く、お米もおいしいので、自然の甘さを引き出したお味噌なんです。塩もそれほど多く使っていないので、味噌汁だけじゃなく、野菜にそのままつけても食べられますし、ゴマ和えにしてもおいしいですよ」
聞くからにおいしそう……。きのう買った日本酒とどう合わせようか、なんて想像が止まりません。
ホクホクの甘い大豆でつくる手づくりお味噌!
こちらのお店ではオープン当初から、味噌や甘酒作りのワークショップが開催されています。米麹の独特の匂いがする店内で、さっそく、味噌作りのワークショップがスタートです!
まずは大豆を一晩水につけて、1時間ほど蒸して柔らかくしたものを、機械でつぶしていきます。大豆をひとつぶ試食してみると、ホクホク甘くて栗のような風味がします。
次に、ミンチの機械を使ってつぶした大豆に、麹とお塩を入れてまんべんなく混ぜていきます。水を加えて材料を練るように混ぜながら、味噌玉をいくつか作り、空気が入らないように容器に入れます。
表面をスプーンで平らにして、ラップをかけたらアルコールをひと吹き。蓋を閉めれば出来上がり! 1時間ほどで手作り味噌が完成しました。
旅の思い出をゆっくり育てる。できあがりは来年の秋
味噌が熟成するには、10ヶ月ほどの期間が必要なんです。今日手づくりした味噌が食べられるのは、来年の9月頃(取材は12月の初旬にうかがいました)。それまでは、直射日光の当たらない場所で常温保存します。
そういえば、修学旅行で体験した陶芸体験でも、焼きあがった作品がもどるまで1ヶ月くらい待ったなあ。「あれ、こんなのつくったっけ」なんて驚いたり、思わぬサプライズあったりして。少し期間があいて旅を思いだすのも、すてきな体験です。
片山さん:「封を開けてからは、冷凍保存がおすすめです。味噌が固まらず、味を保つことができますよ。冷蔵保存で2年目以降になると、発酵がすすんでアルコール臭がきつくなってきます。腐っているわけではなく、炒め物の味付けに使うなどして、火を通してもらうと、アルコールが飛ぶのでまたおいしく召し上がれますよ!」
発酵具合を楽しめるように、目に見える場所で保管するのがおすすめだそう。待って、育てて、ゆっくり食べるお味噌。10ヶ月の待ち時間があるうちに、愛着もわきそうです。
新しくて楽しいお味噌屋さんは、ほっとする場所
今回味噌づくりを教えてくださった片山さんは、朗らかな笑顔が印象的で、ゆっくりと話す様子にほっとします。お味噌という長い時間をかけるものを相手にしているからこそ、醸しだされる空気感なのかもしれません。
他の味噌屋さんに5年間勤めていたという片山さん。そこから独立して、自分のお店を開きました。
片山さん:「味噌屋には老舗が多く、昔ながらに続いているお店のイメージがありますが、なんで新しいお店ができないのかな? という疑問もありました。カフェやパン屋はどんどん新しいお店ができていますし、新しい味噌屋があっても良いだろうと思い、お店を開くことにしたんです」
お店の1周年で開催したイベントでは、建物の3階までを貸し切って大変にぎわったそう。地元からも愛される場所になっているのがわかります。ワークショップの最後に提供される甘酒を飲みながら、ほっと一息。
発酵は、生きものを相手にするから面白い
規模が小さいぶん大量生産はできないけれど、ワークショップは1名からでも対応しているとのこと。日差しの入るガラス張りの店内が、外からでも立ち寄りやすい雰囲気を作っています。さらに片山さんは、味噌作りの面白さが、日本の発酵文化にあると教えてくれました。
片山さん:「麹を発酵させていると、微生物のはたらきでお米がだんだん熱くなってきます。そのために37度などの一定の温度にキープしないといけないんです。それらは目に見えるものではないけれど『ここで確かに生きているんだな』という実感があります」
片山さんの話になるほど、とうなずきました。暮らしの中であたりまえの「発酵食品」って、すごくたくさんの生きものたちが助けてくれた結果でできているんですよね。
こういう「新しいことを知る」感じが、体験の楽しさなんだよなあ、としみじみします。自分でつくったお味噌をさげて、次の場所へ。
お味噌が育つ間に、自分は何をしてるかな。10ヵ月後は、新しいことがもっともっと、見つかっていたらうれしいな。
手づくりのそばで越前おろしそば!新スポット「越前蕎麦倶楽部」
次に訪れたのは、福井駅西口から徒歩2分ほどのガレリア元町商店街。昔ながらの日用品のお店もありつつ、最近新しいお店がたくさんオープンしているエリア。
この商店街にあるそば打ち体験道場「越前蕎麦倶楽部」は、2018年の11月にオープンしたばかりの新しい体験スポット。
日本有数のそばの産地である福井。その土地に受け継がれた「在来種」と呼ばれる品種が栽培され続けています。おいしいお水と空気が育てた、福井のそばを使った「越前おろしそば」は、福井を代表するグルメのひとつ。
福井で、はじめてのそば打ちに挑戦!
「越前蕎麦倶楽部」では、福井県産のそば粉を使った手打ちそばが食べられるほか、店の奥にはそば打ちスペースがあり、ガラス越しにそば打ちをしている人たちの様子が見られるようになっています。
せっかくなら、福井のおいしい味を自分で作ってみたい。代表の山本雅洋さんの指導のもと、はじめてのそば打ちに挑戦しました。
まずは、「木鉢」という大きな鉢にそば粉をふるっていきます。小麦粉とそば粉が2:8の割合で入っている「二八蕎麦」は、よく見てみると、白い粉の中にところどころ黒い粒がみえます。
山本さん:「福井のおそばは、そばの実の周りの黒い皮ごと擦っているので、それが黒いつぶつぶとして入っています。また、甘皮の部分を使うことで、香り高い風味や甘みが楽しめます」
コツがむずかしい、水回しと菊練り
そば粉と小麦粉がよく混ざるように、指を使って、こね鉢の中で大きく回すように混ぜてから、今度はそば粉に水を加える「水回し」と呼ばれる作業に移ります。
粉同士をぶつけるように、両手をゴシゴシ擦り合わせながら、そば粉全体に水が浸透するようにしていきます。
山本さん:「そば打ちは、水回しをしたら、あとはこねて、のして(伸ばして)、切る作業。この水回しがきちんとできていないと、鍋に入れた途端、そばが切れてしまいます。おそば屋さんでは、のしたり切ったりする作業は3ヶ月でできても、水回しの作業の習得に3年は必要と言われています」
水を適宜加えることで、少しずつそば粉が茶色くなっていき、白い粉の色から、次第にお蕎麦の色に変わってきました。そば粉が固まってきたら、次はパンをこねるようにしてそば粉をねっていきます。ツヤが出るまで体重をかけながらこねるのは、なかなかの力作業。「菊練り(きくねり)」という行程はコツが必要なので、山本さんのアドバイスを頼りになんとか生地をまとめました。
やさしい先生に頼りつつ、むずかしい「のし」
鏡餅のような形に成形したそば粉を均等な厚さにひろげたら、太さや長さの異なる2種類の棒を使い分けながら、左右均等な厚さに蕎麦を伸ばしていくこの作業。
山本さんのアドバイスを受けつつも、棒の跡がついてしまったり、蕎麦の端が切れてしまったり、なかなか思うように進みません。しかし、山本さんの手直しが入ると、まるでアイロンをかけているかのように、蕎麦のシワも消えてしまいました。
お店みたいに仕上げたい! 緊張の「切り」
困ったら「山本先生」にお願いしつつ、きれいな四角形になった蕎麦を折りたたみ、最後は切る作業。
まな板の上にのせた蕎麦の上に、「こま板」と呼ばれる板をのせ、定規のように包丁をあてながら切っていきます。これによって蕎麦の幅が決まり、太麺や細麺など、好みの幅に調整することができます。息を止めながら少しずつ切っていきますが、イメージしているようにはなかなか切れません……。いやあ、むずかしい、でも、楽しい!
切ったお蕎麦は、「生舟(きぶね)」と呼ばれる入れ物に並べて完成です。
山本さんは職人のきびしさとチャーミングな人柄をあわせもつ楽しい先生でした。そばを打つ視線は真剣そのものですが、カメラを向けると明るい笑顔で、そのギャップがなんともすてきです。
太くなっても大丈夫! 地元の味を持ち帰ろう
山本さん:「細麺はざるそばに、太麺であればおろしそばに向いています。太麺は、天ぷらと合わせても美味しく食べられますよ」
なかなか細く切れないことが悔しかったけれど、なるほど。名物「越前おろしそば」は太めでもおいしいと聞いてひと安心。
普段はつるりと平らげてしまうお蕎麦も、自分で打ってみると、作業の大変さを痛感します。そのぶん、完成した時の達成感もひとしお。福井の「美味さ」を味わうだけでなく、手づくりして持ち帰る喜びは、特別なお土産になりそう。
本格的な越前おろしそばを駅前で!
今回は体験ということで小麦粉をつなぎにした二八そばをつくりましたが、こちらの「越前蕎麦倶楽部」では気軽にそばを100%を使った十割そばが食べられると話題なんだとか。
辛味大根の大根おろしとねぎなどの薬味がのった風味豊かなおそばに、めんつゆをかけて食べるのが福井流だと教えてもらいました。お土産のおそば、せっかくだからおろしそばにしようかな。
新しい体験、新しい出会い。福井を満喫するなら「体験」がおすすめ
カニ、日本酒、体験とまわってきた福井のグルメ旅もこれにて終了! カニをきっかけに訪れた弾丸旅行は、思った以上に新しい出会いがありました。
有名な観光地を見てまわる旅も楽しいけれど、「体験」に挑戦すると街の人に出会えます。そこに暮らす人の顔を知って、ことばを聞いて。自分の中に「ものがたり」が増えていく旅でした。
おいしいグルメが目白押しだったけれど、何より心にのこったのは福井の人のあたたかさ。「またこの街の『人』に会いに来よう」と心に刻んだ、一泊二日、冬の福井旅でした。
三七味噌
福井県福井市つくも2丁目1−5
TEL:090-4150-3846
営業時間:11:00~18:000
定休日:水曜日
https://sannanamiso.storeinfo.jp/
越前蕎麦倶楽部
福井県福井市中央1丁目10ー21
電話番号:050-3637-3101
営業時間:10:00〜20:00
定休日:火曜日
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取材・執筆:田中 未来
提供:福井観光コンベンションビューロー
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※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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