- odekake
- 2019/10/16
バーや純喫茶、ギャラリーなど歴史あるお店が並び、文化が息づく銀座の街。そんな銀座と新橋の中間に、ホルンのマークを掲げる月光荘ビルがあります。
5階の「月光荘サロン 月のはなれ」は、「月のレモンケーキ」やカクテルの「与謝野ブルームーン」、「名物チキンガンボ」が人気のサロンです。毎夜音楽の生演奏が行われ、壁面にはアート展示。文化人になったような気分に浸れるひみつの隠れ家です。
目次
- 1 銀座駅より徒歩8分。喧騒を忘れる隠れ家「月光荘サロン 月のはなれ」
- 2 ユーモアたっぷりのメニュー表。1ページ目をお酒にした理由
- 3 大人気! 3種のトッピングで楽しむ「月のレモンケーキ」
- 4 「月光荘サロン 月のはなれ」の由来をもとにした「与謝野ブルームーン」
- 5 スパイスたっぷり!名物クレオール料理の「チキンガンボ」
- 6 お酒を片手に展示、ライブ演奏、おしゃべりを楽しむ「月光荘サロン 月のはなれ」
- 7 毎晩20時開演。ジャンルもバラバラな日替わりライブ
- 8 創立から100年以上。与謝野晶子さんをはじめ、銀座で著名人に愛された「月光荘画材店」
- 9 与謝野晶子さんが詠んだ歌から名付けた「月光荘」
- 10 決まった過ごし方はない。何かひとつでもわくわくするものを持って帰ってほしい
銀座駅より徒歩8分。喧騒を忘れる隠れ家「月光荘サロン 月のはなれ」
銀座駅から徒歩8分。見番通りを真っ直ぐ進むと左手にあらわれる月光荘ビル。
このビルの最上階にあるのが「月光荘サロン 月のはなれ」です。大きく掲げられたパレット型の看板が印象的。
ビル奥の階段を5階まで。どこかひみつの場所に通じていそうな細い階段をぐるぐる登っていくと、たくさんの緑に囲まれたテラスが広がります。
テラスの先にはなんともムードのあるお店が待っていました。
6年前、老舗の画材店「月光荘画材店」が、作業場 兼 倉庫を改装しオープンさせたのが「月光荘サロン 月のはなれ」です。
味のある店内に並ぶ調度品の数々は月光荘3代目オーナーが選んだものたち。
「壁はコンクリートで無骨だけど、生い茂る植物や家具など人の手が入っていて、どこか落ち着く雰囲気ですよね。おとぎ話のような非現実的な空間だと、よく言われるんです」
そう話してくれるのは、スタッフの小笠原さん。
小笠原さん:「トンネルの向こうは……みたいな空気で、階段を昇ってくる段階からファンタジー要素があるお店なんです。何か起こるかな、起きたら面白いなってわくわくしてほしい」
月がきれいに見える日は雰囲気たっぷりに「月のはなれへようこそ」とお客さんをお出迎えしているそう。日常から切り離されたような空間で、本当に何かが起こりそうな気がしてきます。
テラスには3つのテーブル席、店内にはバーカウンターもあります。
14時から23時半までの営業。14~17時にはランチセットをいただくことができます。
ユーモアたっぷりのメニュー表。1ページ目をお酒にした理由
席に案内されて、ランチメニューを開くとなんと1ページ目から「昼間っから飲んじゃえ!」とお酒のメニュー。
スタッフの小笠原さんは「これはお店からの洒落ですね。銀座はいつもよりちょっと華やかな時間を楽しむ街。昼下がりの一杯で、軽くテンションを上げていただければいいなと思って」と笑います。
メニューには随所にユーモアたっぷりの文章が散りばめられています。最初から最後までじっくりページをめくりたくなる、まるで本のような読みごたえ。
メニューの言葉は歌い手でもあるオーナーが書いているそう。
ランチタイムには「名物チキンガンボ」のランチセットはもちろん、スイーツセット、ちょっとしたおつまみも注文することができます。
そして何より驚いたのはソフトドリンクよりお酒の方が安いこと。
「お昼から一杯飲みに来る方が結構多いんですよ。うちは5階にあるし、隠れ家のような存在。休憩するにはぴったりなんです」と小笠原さん。
昼と夜のメニューは基本的に同じ。夜はセットがなくなり、それぞれ単品での注文になります。
ちなみに夜のメニュー表はさらに読みごたえたっぷり。それぞれのフード・ドリンクの解説までしっかりとあります。
じっくり読んで行くとお店の世界観に引き込まれてしまいそう。
大人気! 3種のトッピングで楽しむ「月のレモンケーキ」
「月のはなれ」には昼夜問わず人気の看板スイーツがあります。三日月型の「月のレモンケーキ」。
お店の象徴となるようなケーキです。
小笠原さん:「見た目のかわいらしさから、このケーキ目当てに来てくださるお客さんも増えてきました」
確かにこのかわいらしさはついつい写真を撮りたくなります。
しっとりとした生地のレモンケーキは、きちんと食べ応えもあります。
ふんわりと香るレモンがとても爽やかで、食べる手がを止められなくなること間違いなし。
トッピングのはちみつと生クリーム、季節のジャムの3種類はお好みで。
季節のジャムはお店の手づくりで、この日はパイナップルとココナッツのトロピカルなジャムでした。季節によって、洋梨と赤ワイン、りんごとシナモンなどに変わるそう。フルーツ感たっぷりのジャムは、レモンケーキと相性ばっちりです。
甘さ控えめの生クリーム、はちみつと味を変えて楽しめるのも人気の理由ではないでしょうか。
ハンドドリップで一杯ずつ淹れるコーヒーと合わせていただくのもおすすめです。
「月光荘サロン 月のはなれ」の由来をもとにした「与謝野ブルームーン」
「月光荘サロン 月のはなれ」には多くのお酒メニューがあります。
人気は月光荘の名付け親、歌人・与謝野晶子さんの名前を冠した「与謝野ブルームーン」
なんとも美しい薄紫色のショートカクテルです。
ジン、ヴァイオレットリキュール、レモンジュースを合わせ、ほんのり甘さを感じるブルームーン。付け合わせのさくらんぼもいっしょに。
小笠原さん:「夏には生しょうがすりおろしモスコミュール、メープルシロップを使ったモヒートが人気です。デザート感覚で飲めるビターコーヒーのシナモンカルーアも人気なんですよ」
メニューにあるカクテル以外にもバーテンダーさんにリクエストをして注文することもできるそう。ついつい楽しくなっていろんなお酒を飲みたくなりそうです。
スパイスたっぷり!名物クレオール料理の「チキンガンボ」
ランチセットはライスorパン、サラダ、ドリンク付き 税抜1500円
(アルコールはプラス100円)
季節や昼夜問わず人気だという「名物チキンガンボ」。
南アメリカ発祥のクレオール料理なのだとか。
小笠原さん:「見た目はカレーみたいなんですけど、ニューオリンズの郷土料理で、家庭のシチューのような位置づけです」
じっくり煮込んで手間をかけるのが大切だというチキンガンボ。オーナーがニューオリンズを旅していたときに出会い、お店のメニューに取り入れたそう。
小笠原さん:「ニューオリンズから旅行で来たお客さんに食べていただいたことがあるんですけど、こっちの方がおいしいじゃないかって驚かれたこともあります(笑)」
しっかりスパイスを感じるスープに、煮込まれてほろほろになった鶏手羽、野菜の味がにじみ出たやさしい味。オクラのとろみがスープにマッチしています。
ピリ辛のトマトソース、さっぱりとしたバジルソースで味を変えて楽しむこともできます。
ランチセットではパンかごはんが選べるのもうれしい。豆がゴロゴロ入った豆ごはんか、三軒茶屋の人気のパン屋「シニフィアン シニフィエ」特製コーンブレッドのどちらにするかは悩みどころ。
お酒を片手に展示、ライブ演奏、おしゃべりを楽しむ「月光荘サロン 月のはなれ」
「月光荘サロン 月のはなれ」は、レストラン、カフェ、バーとは謳わずに、たくさんの人が集い、語らい、食べるということをひと一つの場所に集約したいという想いからサロンとしてオープンしたそう。
店内ではアーティストによる壁面展示や、生演奏が行われています。
さまざまなジャンルの作家さんや演奏家さんがいるそうで、訪れるたびに違う雰囲気を楽しむことができそうです。
毎晩20時開演。ジャンルもバラバラな日替わりライブ
「月光荘サロン 月のはなれ」では毎日20時から腕利きの演奏家たちによる生演奏が始まります。
席料/ミュージックチャージともになし。感動の気持ちは、お会計時に渡される「はなれのポチ袋」に忍ばせて。全額が演奏家に渡るシステムです。
出演する演奏家は、日替わりでジャンルも年齢もバラバラ。
小笠原さん:「せっかくの生演奏ですから、気持ちが伝わるあたたかい演奏を届けたいと思っています。その日一日しかないスペシャルなひとときを楽しんでもたいですね」
おしゃべりしながら聴いてもよし、一人お酒を片手に耳を傾けてもよし。ライブ演奏の楽しみ方は人それぞれでよいのだそう。
小笠原さん:「演奏してるからみんな聞いてくださいねっていう声かけはあえてしません。夏にはテラス席で汗をかきながらビールを飲み演奏を聴いて、小さなフェスのように楽しむお客さんもいらっしゃるんです」
銀座でそういう楽しみ方ができるなんて、とても素敵。カウンター席でしっぽり飲みながらバーテンダーさんとお話するのもいい酒の肴になりそうです。
創立から100年以上。与謝野晶子さんをはじめ、銀座で著名人に愛された「月光荘画材店」
「月光荘サロン 月のはなれ」は、創業100年以上の月光荘画材店からはじまりました。
月光荘画材店の誕生は与謝野晶子さんがきっかけ。月光荘の創業者が上京した際、住み込みで働いていた家の向かいに与謝野夫婦が住んでいたといいます。それをきっかけに文化人との交流、美術への道に進み、画材店をオープンさせます。
当時、お店にはこれからの日本を支える人たちが業種を問わずあつまって真剣にディスカッションし、時には楽器を持ち寄り音楽を楽しみ、食事を楽しむ場所になっていたそう。
そういった場所を現代に蘇らせたいという想いから100周年を目前にした6年前にオープンしたのが「月光荘サロン 月のはなれ」です。
与謝野晶子さんが詠んだ歌から名付けた「月光荘」
「月光荘」は、創業者と親しかった与謝野晶子さんが詠んだ歌から名付けられたそう。
ー大空の月の中より君来しや ひるも光りぬ夜も光りぬ
小笠原さん:「創業100年以上になる月光荘画材店をオープンする際に、与謝野晶子さんが贈った歌です。そこから月光荘と名付けたそうです。看板の文字は与謝野晶子さんが書いてくれたものなんですよ」
100年以上も使われ続ける店名とロゴからは創業者と与謝野晶子さんへの尊敬の念を感じます。
決まった過ごし方はない。何かひとつでもわくわくするものを持って帰ってほしい
小笠原さん:「ここでは誰もがそれぞれの自由なスタイルで楽しんでほしいのでサロンという呼び方をしています」
食事、お酒、雰囲気を楽しんでもらい、まずはこの場所にいることへの満足感を感じてほしいと話す小笠原さん。
小笠原さん:「何に集中してもいい。何かひとつでもわくわくするものを持って帰ってもらうことが理想です。それだけのエッセンスがここにはたくさん転がっているから」
楽しい雰囲気は、スタッフさんたちの仲のよさからも生み出されていました。
小笠原さん:「いつ来ても、このメンバーがいるっていう安心感も提供したいんです。小さい頃の秘密基地のように、お客さん含め自然とここに集合したくなるような。わたしたちに会いに来てもらえたらうれしいです」
都会の喧騒から切り離されたような「月光荘サロン 月のはなれ」は、一度入るとあたたかな雰囲気に包まれ、おいしいお酒と食事、演奏に展示までも楽しめる贅沢な空間。
さまざまなストーリーを感じる店内は想像力を掻き立てられ、お店を出ると異世界から帰ってきたような不思議な気持ちになりました。
外にいるのが心地よい季節には、テラス席でゆったりと一杯いただきたいものですね。
月光荘サロン 月のはなれ
東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル5階
TEL:03-6228-5189
営業時間:
<月-土> 14:00-23:30(L.O. 22:45)
<日祝> 14:00-21:00(L.O. 20:00)
定休日:なし
http://tsuki-hanare.com/
取材・執筆:西村 隆ノ介
編集:ふくい
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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