- odekake
- 2019/08/22
江戸時代に城下町として栄えていた日本橋茅場町は、老舗のお店が多いエリアです。茅場町駅近くにある「イマノフルーツファクトリー(IMANO FRUIT FACTORY)」も、1952年創業の老舗青果店。ここではテイクアウトできるフルーツサンドが世代を問わず愛されています。
旬のフルーツがこぼれそうなほどぜいたくに入ったフルーツサンドは、その食べごたえとフレッシュさに感動した人々の評判が広まり、とくに大人の女性たちからの支持も絶大だとか。どんなサンドイッチなのか、お店をたずねてみました。
目次
日本橋茅場町「イマノフルーツファクトリー」で新鮮なフルーツサンドを
証券会社が多いため「金融の街」とも呼ばれている日本橋茅場町は、スーツ姿の人々であふれています。東京メトロ日比谷線・東西線の茅場町駅で電車を降り、7番出口を上がるとすぐに「イマノフルーツファクトリー」が見えてきました。
軒下では、マンゴーやドリアンなどのフルーツを販売していました。
入り口の脇をよく見ると、縦長の冷蔵庫もあります。
中をのぞいてみると、フルーツサンドや季節のカットフルーツがならんでいました。この冷蔵庫からお客さんがほしいものを手に取り、店内のレジで購入する流れのようです。
取材中も、フルーツサンドを求めるお客さんはほとんど途切れずにやってきました。ちょうどランチタイムだからか、女性のグループが多い印象。食べごたえのあるフルーツサンドは、テイクアウトして朝ごはんやランチにするのにぴったりですね!
フルーツサンドだけじゃない。果物、スイーツやスムージーもそろう「イマノフルーツファクトリー」
店内には、フルーツサンド以外にも、マンゴーをはじめとした季節の果物がずらりとならんでいます。
お店の中はコンパクトで無駄のないつくり。奥にレジがあり、外のフルーツサンドや店内の果物を購入できるようになっています。
レジ下のショーケースには、ケーキやプリンなどのスイーツもならんでいます。どれもフルーツがたっぷりと使われていておいしそう。
レジの後ろからは、スムージーの氷を砕く音も聞こえてきました。青果店ならではのフレッシュジュースがいただけそうです。
日本橋茅場町で約70年続くお店を守る「今野三兄弟」
今回お話をうかがったのは、「イマノフルーツファクトリー」の店長、今野喜彦(よしひこ)さん。「株式会社いまの」の代表をお兄さんの州彦(くにひこ)さん、2階にある「ビストロサブリエ」の料理長を弟さんの登茂彦(ともひこ)さんが務め、三兄弟で日本橋茅場町でお店を運営しています。
転機はお兄さんの州彦さんが会社を継いだことから。2003年、お店の名前が現在の「イマノフルーツファクトリー」に改称されました。その際、食事系のサンドイッチをやめてフルーツサンドだけを残し、スイーツやスムージーを充実させたのです。
喜彦さん:「果物屋なので、原点に帰って果物のみ売ることにしたんですよ。今、フルーツサンドは毎日150〜200個ほどつくっていて、夕方の18時くらいには売り切れることもあります。賞味期限は翌日なので、朝や昼だけでなく、仕事帰りに買って帰られる方もいらっしゃいますよ」
フルーツは目利きが重要。長年の経験からおいしいものを厳選
「イマノファクトリー」自慢のフルーツは、喜彦さん自身が大田市場から買い付けています。
喜彦さん:「見た目だけでなく、生産者や産地の細かい場所まで見ています。各フルーツに合う土壌も頭の中に入っているんですよ。たとえば、アメリカのグレープフルーツの箱を見ると、畑の番号が書いてあります。日当たりがよくて海側で風通しのいい場所がおいしいから、その条件を満たした畑の番号を選んでいますよ」
フルーツの目利きは、積み上げてきた長年の経験があってこそ。お客さんも喜彦さんの選ぶフルーツに信頼を寄せているから、高価なものでもどんどん買っていくそうです。
店頭で販売しているフルーツサンドは2種類。フルーツサンド(左・税込430円)と季節のサンド(右・税込540円)。取材時の季節のサンドはマンゴーでしたが、夏季はメロンサンドも用意しています。メロンが熟れて食べごろになったら、マンゴーと交代して販売。こうやって食べごろのフルーツをお客さんに出せるのが、青果店のいいところです。そしてなんといっても、このボリューム感はうれしくなってしまいます!
地域を愛しているからこそ、地域に愛される
喜彦さん:「フルーツサンドのパンは隣の区から配達してもらっています。クリームは生ではなく、調整したバタークリーム。その材料は、昭和初期茅場町にあり、今は移動してしまった工場にそのままオーダーを続けています」
材料もなるべく地元のものを使いたい。その思いは創業当時から続いています。
さらに「イマノフルーツファクトリー」は、同じ中央区にある聖路加病院の売店へフルーツサンドやプリンなどをおろしています。地元の人がそこでフルーツサンドを手にし、その懐かしさに、後日お店に買い物に来ることもあるそう。
喜彦さん:「1階の新鮮なフルーツを、4階の厨房で調理しています。ケーキもプリンも昔ながらの素朴な味で、もちろんすべて無添加。地元の人たちも懐かしがって、スイーツを買ってくださいます」
「イマノフルーツファクトリー」の果物を使ったメニューが食べられる「ビストロサブリエ」
三男の登茂彦さんが料理長を務める2Fの「ビストロサブリエ(BISTRO SABLIER)」は、ランチもありますが夜がメイン。パッションフルーツをお肉に合わせたり、桃をパスタに加えたりと、「イマノフルーツファクトリー」のフルーツを使ったフレンチのメニューが特徴です。ちょっとしたパーティーや記念日にも頼れるため、地域の方からも人気を集めています。
「高級な果物が多くて扱いに気を使いますが、その分、やりがいもあります」とスタッフの方は目を細めます。
時間がない日の朝ごはんにも。夏にぴったりのスムージー
「フルーツサンドを食べる時間もない朝は、スムージーを飲むだけでも全然違いますよ」と喜彦さんが紹介してくれたのは、桃とスイカをブレンドしたスムージー「なでしこ(税込450円)」。
「食欲がなかったり時間がなかったりして朝食をしっかり食べられなくても、体がシャキッとするのでフレッシュなフルーツだけでも取り入れてほしいなと思っています」と、喜彦さんはほほえみます。
顔を近づけると果実の匂いがしっかりと香ってきます。甘さとさっぱり感のバランスがよく、夏にごくごく飲める爽やかな味わい。
贈り物にも喜ばれる果物をふんだんに使ったスイーツ
「イマノフルーツファクトリー」のフルーツやスイーツは、手みやげや贈り物などにも人気です。うかがったのがちょうどお中元の注文が多い時期。小さなカウンター式のイートインスペースは、発送の準備で忙しそうでした。
フルーツサンドといっしょに日本橋茅場町を散策
フルーツサンドをテイクアウトして外に出ると、とてもいい天気。せっかくなので、青空の下で食べることにしました。
お店からは隅田川も近いので、ちょっと足を伸ばしてみることに。
花王本社の脇を通り、てくてくと進んでいきます。
10分くらい歩くと隅田川に到着。川沿いはきれいに舗装され、いくつかベンチもありました。風も心地よく、景色をながめながらゆっくりと食べることができそうです。
フルーツサンドを包みから出してみました。フルーツは、マンゴーやパイナップル、キウイにグレープフルーツと見えている部分だけでも豪華。さらに奥にはバナナもはさんであるんです。中身がこぼれ落ちそうなほど詰まっているため、片手で持つとほどよい重量感がありました。
やわらかな食パンといっしょにかぶりつくと、ごろごろと大きめなカットフルーツのジューシーさに、甘さ控えめのバタークリームがやさしく絡んで口の中に広がります。フルーツをしっかりといただいている感じがして、とてもぜいたくな気分。
日本橋茅場町は、オフィス街というイメージが強いエリアかもしれません。でも、老舗青果店がこだわり抜いたフルーツサンドを目当てにピクニックがてら足を運んでみると、ここで過ごす時間がいつもと違ったものに感じられそうです。
イマノフルーツファクトリー
(IMANO FRUIT FACTORY)
東京都中央区日本橋茅場町1-4-7
TEL:03-3666-0747
営業時間:月-金 8:00-20:00 土 10:00-15:00
定休日:日祝
http://imanofruits.pepper.jp/
ビストロサブリエ(BISTRO SABLIER)
東京都中央区日本橋茅場町1-4-7 2F
TEL:03-3669-7743
月-金 11:15:15:00(L.O.14:15) / 18:00-23:00(L.O.22:00)
土 17:00-22:00(L.O.20:30)
定休日:日祝・第1土
http://www.sablier.net
取材・執筆:薮田 朋子
編集:夏梅 有希
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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