- odekake
- 2019/07/31
目次
「青いタコス」と聞いたら、どんな食べ物を想像するでしょうか。
青いとうもろこしを使ったタコスを提供している三軒茶屋の専門店「Los Tacos Azules(ロス・タコス・アスーレス)」。
伝統的なスタイルでつくられたここでしか食べられないタコスで、メキシコ料理のイメージが変わると噂になっています。
週末限定で「朝タコス」を食べられると聞いて、青いタコスとの出合いにドキドキしながらお店に向かいました。
三軒茶屋から徒歩8分。青と白の壁が目印の「Los Tacos Azules」
三軒茶屋駅の南口を出て首都高速道路沿いを7分ほど歩き、左手のなだらかな下り坂を進んだところにある「Los Tacos Azules(ロス・タコス・アスーレス)」。
大きなサボテンに、ブルーとホワイトのツートンカラーの壁。旅の最中に出合ったかのような、クールな異国の雰囲気です。
日光が気持ちよく差し込む店内もツートンカラーになっていて、穏やかな雰囲気。
迎えてくれたのは、板前のような出で立ちのマルコさんと、パートナーの阿部さん。
大学生の頃に外交官を志して日本に交換留学に来ていたマルコさんは、外国の料理が日本でレベルアップしていることに感動し、食の道を進むことを決めたそうです。
そんなマルコさんが手がける、こだわりのタコスについて聞いてみました。
毎日製粉からスタートする、新鮮な生地づくり
「Los Tacos Azules」のタコスは、生地からこだわってつくられています。
阿部さん:「とうもろこしを挽いて製粉するところから、毎日手づくり。私たちは、新鮮な生地を焼き立てで食べるタコスが一番おいしいと考えているんです」
生地を一から手づくりって、かなり大変そう……!メキシコでも生地をあらかじめ焼いておいて、提供するときに温める方法が主流なんだそうです。
阿部さん:「それでも記憶から離れなかったのは、メキシコで出合ったあるタコス。土地のものを新鮮なうちに調理して、一枚ずつ焼き立てで提供していました。だから私たちも、伝統的な製法でトルティーヤをつくることにしたんです」
マルコさん:「新しいものをつくりたかったんですよ。その国の食材とメキシコの伝統を組み合わせたら、おもしろいコラボレーションを楽しめるんじゃないかと思って」
メキシコ人もびっくり!「Los Tacos Azules」のタコスが青い理由
店名にある「Azules」とは、「青」の意味。名前のとおり、青い生地に目が引かれます。
阿部さん:「着色しているのかをよく聞かれるのですが、ナチュラルな色。ブルーコーンの青さなんです。マルコがブルーコーンを使ってメキシコでタコスをつくったら、生地の色を見てメキシコ人もびっくりしていました(笑)」
阿部さん:「ブルーコーンはメキシコの在来種のひとつで、昔から食べられているもの。赤から白、黄色、全体がカラフルなものまで、今でも200種類ほどメキシコに残っています。とうもろこしの多様性を守るため、
週末ブランチにおすすめ。素材を味わう朝タコス
週末限定の朝タコスは予約不要で、日々変化する幅広いメニューの中から選べます。
1品300円〜とリーズナブルな価格だから、さまざまな種類を気軽に楽しみやすいのもうれしいポイント。一つひとつ異なる個性を味わいながら、食べ比べてみるのもおすすめです。
今回は数ある朝タコスメニューの中から、おすすめを紹介していただきました。
ジューシーなグリルサボテンに、ヤギのチーズをトッピング
こちらは朝タコスメニューのひとつ、トラコヨ(税抜800円)。
マルコさん:「トラコヨは、メキシコの伝統的なおやきのような食べ物です。葉っぱ型のトルティーヤに焼いたサボテンの上にズッキーニとハラペーニョのソースをかけて、ヤギのチーズをちりばめています」
香ばしく焼かれたジューシーなサボテン、爽やかなソースとヤギチーズのコクが調和して、それぞれの素材の魅力が引き出されていました。
チーズがとろける定番のケサディーヤ
トルティーヤにチーズを挟んだ、シンプルなケサディーヤ(税抜450円)もおすすめ。お好みでサルサをかけて食べます。こちらも生地の香ばしさと、シンプルながら素材の味がしっかりと感じられます。軽やかな口当たりで、何枚でもペロリと食べられそう。
朝タコスからはじめる、週末のおでかけブランチ
朝タコスをはじめた理由は、メキシコのタコス文化がきっかけでした。
阿部さん:「日本のお米のように、メキシコでは卵をのせたり具材を変えたりして、朝も夜もタコスを食べます。週末には、朝からお気に入りのタコス屋さんに足を運ぶのがメキシコでの楽しみなんです。
朝タコスをきっかけに、日本でも朝ごはんを食べに行く文化が少しでも広まったらうれしいなと思っています」
ブランチメニューは9:00から15:00までの提供だから、早起きできなくても大丈夫。次は「タコスのモーニングに行ってみない?」って、友だちを誘ってみようかな。
タコスのネクストレベルを目指すディナーは、メキシコ料理のコース
「Los Tacos Azules」では、ブランチだけでなくディナーも用意。「タコスOMAKASEコース」(税抜7,600円)と「タコスOMAKASEライトコース」(税抜4,500円)の2種類が展開されていて、予約必須です。
でもメキシコ料理のコースって、初めて聞きました。
阿部さん:「夜のコースでは、タコスごとにサルサを変えています。『タコスをどこまで進化させられるか』をテーマに、いつも試行錯誤しているんです」
「Los Tacos Azules」では、朝と夜でメニューががらりと変わります。お店にいらっしゃる方の雰囲気や目的も違うようです。
阿部さん:「朝タコスはお手軽なので、比較的若い方や近所の方、外国人観光客がふらっといらっしゃることが多い印象です」
ディナーには、食に興味がある方や本格的なメキシコ料理を食べたい方、日本でタコスがどんな進化をしているのか気になっている方など、食に対してちょっとマニアックなお客さんが多いのだとか。
青いタコスを初めて食べるなら、お試しには朝タコスがぴったりです。
辛さだけじゃない、メキシコ料理の奥深い魅力
「Los Tacos Azules」で食べたメニューは、どれも素朴ながら素材の味が響きあう奥深さ。メキシコ料理ってもっとスパイシーではっきりした味付けで、スナックのように食べるものだと思っていました。
阿部さん:「メキシコの田舎では、豆やとうもろこしの素材を味わう料理が多いんですよ。
唐辛子も辛さを加えるだけでなく、コクを出したり酸味を強くしたりと、幅広い使い方をします」
初めて出合うマイルドなタコスを食べるブランチなら、久しぶりに会う友だちとの会話も弾みそう!
全国各地から仕入れている、とっておきの食材
「Los Tacos Azules」では、きのこやおかひじきといった意外な食材もメキシコ料理に使っています。
阿部さん:「素晴らしい食材が豊富な日本だからこそ実現できる、新しいタコスがあります。
メキシコでのつくり方や味付けをベースに食感や味のバランスを考えながら組み合わせているので、ここでしか食べられないメキシコ料理を楽しんでいただけたらうれしいですね」
サボテンやヤギチーズなどの日本ではめずらしい食材も、じつは国産。
阿部さん:「サボテンは愛知県から届いています。お客さまから仕入先を紹介していただいたこともあり、食材との出合いもご縁ですね。日本にも食用のサボテンがあるんだ、とびっくりしました」
イタリア料理にとってのオリーブオイルと同じくらいメキシコ料理に欠かせないものと言えば、ラード。そのラードも、お店で手づくりしています。
食材にこだわって、「Los Tacos Azules」でしか味わえない最高のメキシコ料理を届けたい。そんなマルコさんと阿部さんの思いが、ひしひしと伝わってきました。
メキシコ料理と日本の食材の出合いから広がっていく、タコスの可能性
「Los Tacos Azules」のタコスを初めて食べたこの感動を、忘れられなさそうです。
阿部さん:「ありがたいことに、わたしたちのタコスを食べてくださった多くのお客さまが、タコスに対する今までのイメージがひっくり返ったと言ってくださっています。
私たちなりにタコスの魅力を伝えていくことで、『ここまで複雑な表現ができるんだ』と感動してもらえたらうれしいですね」
まだあまりメキシコ料理が広まっていない日本で、マルコさんと阿部さんが食材にこだわりながらタコスづくりに励む理由は、日本のタコスの可能性を広げたいから。
メキシコ料理の新たな一面を見せてくれた「Los Tacos Azules」のおかげで、日本の食材の魅力や可能性に気づけたような気がします。なんだかうれしい気持ちでお店を後にしました。
次に行くときは、どんなタコスに出合えるかな。
Los Tacos Azules
(ロス・タコス・アスーレス)
東京都世田谷区上馬1−17−9
TEL:03-5787-6990
営業時間:
[ディナー]水-土 18:00-23:00(要予約)
[朝タコス]土日 9:00-15:00(週末限定ブランチ・予約不要)
https://www.lostacosazules.jp/
取材・執筆:西村 隆ノ介
編集:菊池 百合子
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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