- odekake
- 2019/10/02
「黄色い鳥器店」は、国立の地に12年お店を構えているうつわのお店です。
作家ものの個性的なうつわや暮らしにまつわる雑貨を扱っているこのお店では、店主の高橋千恵さんが淹れてくれたお茶をいただきながら、ゆっくりと商品を眺めることができます。
渋いものやかわいらしいもの、面白いものなど、いろいろなテイストの個性豊かなうつわは、大切な人への贈りものにもぴったり。
「ここにしかない」うつわとの出合いを求めて、お店をおとずれました。
目次
- 1 贈りものにうつわを選ぶなら、国立の「黄色い鳥器店」へ
- 2 個性的な食器や雑貨がたくさん並ぶ、ナチュラルな雰囲気の店内
- 3 国立に「黄色い鳥器店」を構えたころから変わらない思い
- 4 知られざる作家の魅力を伝えたい。その思いで「黄色い鳥器店」をオープン
- 5 うつわ選びの基準は「黄色い鳥器店」らしさ
- 6 個性豊かで愛らしい。おすすめの作家とそのうつわをご紹介
- 7 食器や雑貨のプレゼント提案は、贈る相手の顔を思い浮かべながら
- 8 「黄色い鳥器店」の企画展で作家の魅力を味わって
- 9 お客さまに「お返しする」気持ちを大切に
- 10 見るたびに癒される。陶器の箸置きを自宅用に購入
- 11 「すき」をつめこんだ国立のうつわのお店「黄色い鳥器店」
贈りものにうつわを選ぶなら、国立の「黄色い鳥器店」へ
「黄色い鳥器店」は、国立駅の北口から歩いて3分ほどの場所にあります。
お店が多い南口側に比べて、北口側は落ち着きのあるエリア。中央線を左手に見ながら歩くこと3分、かわいらしいイラストが描かれた看板を見つけました。
緑におおわれた階段をのぼり、2階へ行くと、たくさんのうつわとともに、やさしい笑顔の店主・高橋千恵(たかはしちえ)さんが出迎えてくれました。
個性的な食器や雑貨がたくさん並ぶ、ナチュラルな雰囲気の店内
「黄色い鳥器店」の店内には日の光がやわらかく差しこみ、食器や雑貨を照らしていました。グリーンがたくさん飾られていて、ナチュラルな雰囲気。
店頭に並ぶたくさんの商品は、どれもはじめて見る個性的なものばかり。
白い壁に飾られているお皿やコースターは、一見するとアート作品のようにも見えます。
中央の大きなテーブルには、湯のみと急須のセット。店内にあるキッチンカウンターの中では、やかんがシュンシュンと静かに音を立てていました。
まるで誰かのおうちにお邪魔したかのような、不思議な感覚で店内を眺めていると、高橋さんがお茶を淹れてくださいました。
湯呑みをお湯であたため、急須にうつしかえて茶葉を蒸らすこと数分。急須の白い注ぎ口から、いい香りとともに、ゆっくりとお茶が注がれます。
「お客さまには、なるべくお茶をお出しするようにしています。忙しくて難しいときもあるけど、なるべくね」
高橋さんはそういいながら、素敵なカップに入ったお茶を手渡してくれました。
国立に「黄色い鳥器店」を構えたころから変わらない思い
「黄色い鳥器店」が国立にお店を構えた2007年には、駅から20分ほどかかる別の場所にお店があったそう。
当時はまだスマホも普及していない時代。プリントアウトした地図をたよりにお店に足を運んでくださるお客さまも多く、「せっかくならゆったりくつろいでいただきたい」という気持ちから、お茶を出し始めました。
高橋さん:「前にお店があった場所は、近くにカフェもないようなところだったんです。お客さまにくつろいでいただきたい気持ちは変わらないから、この場所に移転してからもキッチンカウンターを構え、お茶をお出ししています」
知られざる作家の魅力を伝えたい。その思いで「黄色い鳥器店」をオープン
高橋さんは、雑貨や文房具の企画・デザインの仕事を経て、陶芸作家をめざし愛知県の窯業訓練校に1年間通いました。卒業後は、和食器&生活用品ブランドで働くなかで、たくさんの作家と出会う機会を得たのです。そこで「まだ世に出ていない作家の作品を広めていきたい」という思いが強まり、2007年に「黄色い鳥器店」をオープン。
高橋さん:「世の中には、有名でなくても素晴らしい作品をつくる作家がたくさんいるんです。そういった作家の作品を伝えていく場として、お店をつくることにしました」
印象的な店名は、高橋さんがすきな作家の作品をもとに名付けられました。
高橋さん:「一般的には、陶芸家はうつわだけ、版画家は版画だけ……と専業のことが多いんですが、この作家は、食器やオブジェなどの陶芸作品のみでなく、版画作品、布バッグなどいろいろなものをつくっていました。自分の店でも、一風変わった作家の作品を紹介していきたいという思いを込めて、店名に『黄色い鳥』を入れたんです」
うつわ選びの基準は「黄色い鳥器店」らしさ
お店に置くうつわを選ぶ基準は「黄色い鳥器店」らしさ。自分の「すき」という感覚が反応するものや、お客さまに、面白い・楽しい・持って帰りたいと思ってもらえそうなものを選んでいるうちに、自然と「黄色い鳥器店らしいね」といわれるラインナップになっていったそうです。
お店にそろうのは、渋いもの、かわいらしいもの、面白いものと、いろいろなタイプのうつわ。使いやすいものだけではなく「使いにくいけど面白いもの」をあえて仕入れることもあるとのこと。
高橋さん:「いろいろなものがあったほうが、楽しいじゃないですか。『ここにしかないね』っていっていただけるような商品を集めるよう、意識しています。
贈りものをするときに、『黄色い鳥器店に行けば、何かしらある』と思ってもらえるお店にしていきたいですね」
個性豊かで愛らしい。おすすめの作家とそのうつわをご紹介
高橋さんに、おすすめの作家とその作品をご紹介いただきました。
遊び心のあるかわいい絵柄。寺門 広気(てらかど こうき)さん「ハチ鉢」
寺門さんは、東京藝術大学・大学院で彫刻を学ばれたあと、陶芸家として活動されています。寺門さんがつくる益子焼のうつわは、薄くて軽いけれど、しっかりと焼き締めてあるので丈夫だそう。
かわいらしい絵柄が印象的で、思わずクスッと笑ってしまうような、ユニークな作品も多数。蜂の形の「ハチ鉢」は、かわいらしい絵柄が印象的な作品ですが、ちょっとしたしかけが隠されていました。
高橋さん:「羽のところに数字が書いてあるでしょう。足すと8になるんですよ」
ハチだから8……ダジャレ?! と、思わず笑ってしまいました。
表情豊かな動物が愛らしい、ローラ・カーリン「アニマルポット」
ローラさんは、ロンドンで活躍するイラストレーター。やきものやイラスト製作をされている姉妹ユニット・ちえちひろさんの紹介が出会いのきっかけだったそう。
表情豊かな動物のイラストがちりばめられた「アニマルポット」は、どの角度から見てもかわいらしい作品。しっかりと重さがあるので、中に物をたくさん入れても大丈夫です。
高橋さん:「ペン立てにしてもいいし、ペットボトルを入れてお花をさして、花瓶がわりに使う方もいますね」
こんな使い方もできるかな? と、あれこれ考えるのも楽しそうです。
「黄色い鳥器店」オリジナルカラーも。春原 敏之(すのはら としゆき)「鳩ぽっぽシリーズ」
春原さんは、長野県の伝統工芸作家です。「鳩ぽっぽシリーズ」は、もともとは春原さんの叔父さんがつくられた作品。現在は春原さんが製作を引き継いでいて、60年もの間にわたって愛されています。
「鳩ぽっぽ」のうつわは木目が美しい白樺の木でつくられていて、鮮やかな色合いがぱっと目をひきます。青・赤・白・生成りに黄色の5色があり、贈りものとしても人気だそう。
高橋さん:「もともとは黄色はなかったんですが、春原さんが『黄色い鳥器店のために』と自主的につくってくださったのがきっかけで、商品のカラーバリエーションに黄色が加わりました」
「黄色い鳥器店」の雰囲気に合わせた作品をつくってくださる作家は、春原さん以外にもいらっしゃるそう。作家に愛されているお店というのが、よくわかります。
食器や雑貨のプレゼント提案は、贈る相手の顔を思い浮かべながら
来店されるお客さまのうち、3〜4割がプレゼント用の食器や雑貨を求めて来店されます。
ちょっとしたプレゼントに人気なのは、「admi」のハンカチ。テキスタイルデザイナーの堀千春さんが、インドの職人さんといっしょにつくっている商品です。
「うつわをプレゼントしたい」とおっしゃる人には、贈り先の方はひとり暮らしなのかご家族なのか、年齢はおいくつなのかなどをうかがい、暮らしを想像しながらプレゼントの相談に乗るのだとか。
高橋さん:「たとえば、1人暮らしなのに大きなうつわをもらっても、使う機会がないですよね。せっかくなら、その方の暮らしになじむものをおすすめしたいんです」
商品をおすすめする際には、どんな作家がつくっているのかという話もするそう。ひとつのうつわに込められたストーリーを知ることで、「より大切にしたい」という気持ちがわいてきます。
購入いただいた商品を包むときには、作家の名前を書いたカードも添えて。小さなカードには、「うつわをきっかけに作家に興味を持っていただきたい」という高橋さんの思いが込められています。
「黄色い鳥器店」の企画展で作家の魅力を味わって
「黄色い鳥器店」では、作家ごとの企画展を開催しています。こちらも、「作家の魅力をより伝えたい」、という思いから生まれたものだそう。
高橋さん:「ショップで販売して、ファンがついてきた作家の企画展を開催しています。いろいろな作品を見ていただいてはじめて、作家の魅力が十分に伝わりますから」
1〜2ヶ月に1度のペースで、2階のショップではうつわや雑貨、3階のギャラリーでは絵画や洋服の企画展を開催。取材でおうかがいした際は企画展は開催されていませんでしたが、期間中は店内の商品がほぼすべてその作家の作品になるそう。「いろいろな作家のうつわを見たい場合は、企画展を開催していない時期に来てくださいね」とのことです。
今後の企画展スケジュールは、「黄色い鳥器店」の公式サイトに一覧で掲載されています。また、TwitterやInstagramでも随時お知らせしていますので、気になる方はぜひチェックをしてみてくださいね。
お客さまに「お返しする」気持ちを大切に
国立にお店を構えて12年。リピーターの方が多く、なかには親子2代で通ってくださるお客さまもいらっしゃるのだとか。
高橋さん:「昔はお母さんに連れられてお店に来ていた小さなお子さんが、お母さんへのプレゼントを買いたいから、とひとりで来てくれたことがあって。長くお店をやっていると、こんな嬉しいこともあるんですよ」
お店を長く続けて来られたのはお客さまのおかげだと、高橋さんはいいます。
高橋さん:「オープンのときは駅から遠い場所だったから、誰も来てくれないんじゃないかと心配でした。でも、まずご近所の方が来てくれて、口コミで徐々にお客さまが増えていって、その積み重ねでここまで続けてこられました」
お客さまには感謝の気持ちしかない、と高橋さん。よくしていただいた分をお返ししたいという気持ちで、お客さまに接しているそう。
高橋さん:「そうすると、お客さまはその分をまたお店に返してくださるんですよ。何度も足を運んでくださったり、ほかのお客さまを連れてきてくださったり。その繰り返しで続いてきたお店なので、これからも『お客さまにお返しする』という気持ちはなくさずにいたいです。
商品を見に来るだけでもいいし、お茶を飲みに来るだけでもいい。お客さまがお店の階段を降りるときに、楽しかった、元気になれた……と思ってもらえるお店でありたいと思っています」
見るたびに癒される。陶器の箸置きを自宅用に購入
ちょうど自宅用に箸置きがほしかったので、高橋さんに商品の説明をしていただきながら店内をじっくり見て回り、陶器のものを4つ購入させていただきました。
ゆるい表情がかわいらしい星型の箸置きは、ちえちひろさんの作品。淡い色合いがやさしい印象の鳥の箸置きは、橋本美貴子さんの作品です。
ちょこん、と置かれたお箸をつぶらなひとみで支えてくれる鳥の姿がとても愛らしくて、食卓で見るたびに癒されます。
次は大切なあの人を元気にするために、ゆっくりとお店を回って贈りものを選びたいな、と思いました。
「すき」をつめこんだ国立のうつわのお店「黄色い鳥器店」
「ありがとうございました」と笑顔で見送る高橋さんを背に、「あぁ、すてきなお店だった……」とあたたかい気持ちに。トントンと階段を降りていたら、自然と笑顔になっている自分に気づきました。
「お客さまがお店の階段を降りるときに、楽しかった、元気になれたと思ってもらえるお店でありたい」と話していた高橋さん。その気持ちが、「黄色い鳥器店」のすてきな空気感をつくっているのでしょう。
高橋さんがお店をつくる場所として国立を選んだ理由は、「東京だけど田舎みたいな、ほっとする街だから」。
「黄色い鳥器店」のコンセプトは、「ほんとうにすきなものだけを集めたうつわと雑貨の小さな店」。流行りに左右されない「すき」をつめこんだお店をつくる場所として、国立はぴったりな街でした。
ちょっと元気をもらいたいなと思うとき、ほかにはない贈りものを選びたいとき。
おさんぽがてら、ぜひ一度国立の「黄色い鳥器店」に足を運んでみてくださいね。
黄色い鳥器店(キイロイトリウツワテン)
東京都国立市北1-12-2 2階
TEL:042-537-8502
営業時間:12:00-19:00
定休日:月・火
http://kiiroi-tori.com/
Instagram / Twitter
取材・執筆:中村 英里
編集:夏梅 有希
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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