- odekake
- 2019/07/01
目次
千駄ヶ谷の住宅街にたたずむ、日本茶スタンドカフェ「八屋」
車通りの激しい明治通りから一本入った、千駄ヶ谷の静かな住宅街。
一見、お茶屋さんとは思えないスタイリッシュな佇まいの“日本茶スタンドカフェ”「八屋(はちや)」があります。
“現代における日本茶の新しい楽しみ方を提案する”をコンセプトにつくられた「八屋」。一杯一杯その場で点てて提供される日本茶ラテなど、本格的な日本茶が楽しめるお店です。
お店を訪れたのは朝9時。
店員の木村さん:「近くに会社がいくつかあるので、通勤路にちょうどいいみたいなんですよね」
確かに住宅街とは思えないほど、行き交う人が多い通りです。
白を基調とした外観は、見ているだけでも気が引き締まるような凛とした印象です。玉砂利が敷き詰められた地面や、竹でできたベンチなど、和の要素を取り入れたしつらえ。
こちらのお店は、カフェとしてはめずらしく土日休みの店舗(「八屋」代官山店は土日も営業されています)。
「近隣の方に出勤前に飲んでいただけるように、朝9時から営業しています」
店員の木村さんにお話を聞きつつ、カフェでの時間を体験します。
日本茶カフェならでは。伝統的な和柄が特徴の店内
中に入ってまず目に入るのは、壁一面に広がる「波」の柄。和紙でできた壁紙は、ポップさもありつつ上品な印象です。
柱に施された細かな「麻模様」は木を使った組子でできているのだそう。
釘を一切使わずに木を組んで出来る精巧な細工につい見とれてしまいました。
遊び心にあふれ明るい店内は、気軽に日本茶を楽しめる空間だと感じられます。
一杯ずつお茶を点てて提供する、こだわりの日本茶ラテ
ホットの煎茶、さわやかな口当たりの炭酸冷茶、ラインナップが豊富で楽しいスムージー(後半でご紹介します)など。さまざまな方向で日本茶を楽しめるのが「八屋」の特徴。
はじめにお願いしたのは、注文を受けてからお茶を点てる「煎茶ラテ」です。
カシャカシャカシャ……と小気味いい軽やかな音と共に、茶筅(ちゃせん)を使って店内で点ててくれる一杯は「八屋」ならでは。他のドリンクにはない特別感があります。
ほろ苦さも感じられる煎茶ラテは、ほんのりとした甘みとまろやかなミルクで上品なおいしさ。
木村さん:「ラテは和三盆を使ってほんのりとした甘さに仕上げています。お茶の味を一番引き立てるように、ぎりぎりのところで調整してつくっています」
甘味料も日本独自のものを使ったこだわりよう。ちなみにスムージーは白餡を使っているのだそう。
千駄ヶ谷店限定の「白ばたー餡パン」
煎茶ラテと一緒にいただくのは千駄ヶ谷店のみでいただくことのできる「白ばたー餡ぱん」。
”お茶に合うパン”というコンセプトなのだとか。
もちもちのパンに挟まれているのは、コクのある真っ白なバターと、上品な甘さの十勝産こしあん。小ぶりなサイズ感がちょっと小腹を満たしたいときにぴったりです。
煎茶ラテと一緒にいただくと、お茶のほろ苦さがパンの甘みを引き立てて、そのパンの甘みをお茶がすっきりとつつんでくれるという相乗効果が生まれます。
こんなにお茶とパンが合うなんて! ぜひ試してほしいメニューです。
八屋オリジナルの茶葉で一杯を
「八屋」で使用している茶葉はこだわりの詰まったオリジナルの茶葉です。
煎茶には奈良県で260年以上続く、茶農家「井ノ倉(いのくら)」の「かぶせ煎茶 気宇(きう)」。
ほうじ茶には静岡県の「カネ十農園」一番茶刈番(いちばんちゃかりばん)の茶葉を使用しています。4年に一度だけ収穫できる貴重な茶葉なのだとか。
日本茶スタンドで使うのは、伝統ある茶道具
こだわりの茶葉でつくられた日本茶をよりおいしくしてくれるのは、すてきな茶道具の数々です。
日本茶をおいしく淹れるための道具からも、「八屋」の妥協を許さない姿勢を感じることができます。
日本茶の茶葉を守る、真鍮の茶筒
「八屋」の茶葉を入れているのは、京都「開化堂」の茶筒。日本で一番古い歴史を持つ手づくり茶筒の老舗です。
高い密閉性をもった開化堂の茶筒は、湿気が禁物の茶葉を入れるにはこれ以上ないものなんだとか。
艶めく真鍮はついつい見惚れてしまう美しさです。
継ぎ目のない銅の急須が味わいを引きだす
急須に使われているのは200年の歴史をもつ、新潟県「玉川堂」でつくられた急須。
一枚の銅板からつくられる継ぎ目のない鎚起銅器(ついきどうき)の急須は無形文化財にも指定されている伝統あるものです。
熱伝導の早い銅器で入れると、茶葉の味わいをしっかり引きだすことができるのだそう。
お茶を点てるのを待つあいだに、こだわりの詰まった道具を見るのも楽しいひととき。
待ち時間なんてあっという間に過ぎてしまいそうです。
家でも「八屋」の日本茶を楽しむために
店内では茶葉はもちろん、かりんとうなどの甘味、和菓子やお茶にぴったり合う「八屋セレクト」のうつわの販売もしています。
うつわは販売前から「買いたい」という声が数多くあったことから販売を開始したのだとか。
茶葉とうつわを揃えて、「八屋」のこだわりをおうちでも楽しむのもいいですね。
土日祝日は「八屋」代官山店へ
千駄ヶ谷店の4日後にオープンした代官山店。土日祝日がお休みの千駄ヶ谷店と違い、定休日がないのが代官山店です。
千駄ヶ谷店では壁一面に広がる「波柄」ですが、代官山店では「松柄」がお出迎え。
どちらの店舗も行ってみて、違いを楽しんでみるのもおすすめです!
人気の黒ごま玄米スムージーはテイクアウトにぴったり!
煎茶ラテにつづく「八屋」の人気メニューは、ホイップと黒蜜に玄米フレークがのっている「黒胡麻玄米スムージー」。
パフェのような見た目でボリュームもあるので、テイクアウトしてお散歩のお供に少しずつ飲みたい一品です。
一口飲むと胡麻の濃厚な味が口いっぱいに広がる「和」のお味。
フレークの食感も楽しんだり、軽い甘さのホイップと混ぜたりと、味の変化も楽しめるのが良いところ。
ごま好きさんにはぜひ一度試してみてほしい一杯です!
自家製シロップをつかった「八屋」のくだもの茶から、四季を感じて
季節のくだものを使用したシロップと日本茶が掛け合わされた「季節のくだもの茶」も「八屋」の人気メニュー。
木村さん:「シロップはお店だからこそ出したいものを毎回考えています。例えば『梅』は、お茶には合うけれど自作している人が多い。
『すもも』くらいに少し意外性があるものがいいですね。どのお茶と合うかというところまで試行錯誤を重ねます」
砂糖と果実の水分のみでつくられ、自然な果実の果汁がぎゅっと詰まったシロップはすべて「八屋」オリジナル。
季節ごとの恵みを感じる自家製シロップとお茶の組み合わせを楽しむのもいいですね。
本格的な日本茶を、気軽なスタンドカフェでとどけたい
日本茶スタンドが立ち上がったきっかけは、貸しオフィスとして使われているビルに、何か付加価値をつけようと思ったことなんだとか。
「日本茶専門店」ということばから感じる「格式が高い」印象を、スタンド形式や壁の装飾などを通して気軽に楽しんでもらいたい、というのがお店づくりのポイント。
木村さん:「お店はカジュアルですが味は本格的なものを、と素材にこだわっています」
日本茶をもっと気軽に楽しめる場所に
八屋の店名は日本で茶摘みの日とされる「八十八夜」と、末広がりで縁起が良いとされる「八」の字が由縁。
木村さん:「日本茶を一杯一杯つくるのは、もちろん大変ではあります。でも、味や香りが全く違うものになりますし、点てる姿・淹れる姿も含めてお客さんに楽しんでもらいたいんです」
”こだわりの詰まった日本茶をもっと気軽に楽しんでほしい”
遊び心がいっぱいのメニューをはじめ、お話をする様子からも感じる「八屋」の思い。
少し早起きした朝は、日本茶で一日を始めてみるのはいかがでしょうか。
少しほろ苦い日本茶は、今日をすっきりと整えてくれる気がします。
八屋 千駄ヶ谷店(ハチヤ センダガヤ)
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-1-8
TEL:03-6368-6647
営業時間:9:00-19:00
定休日:土日祝
※代官山店は定休日なし
http://8ya.jp/
取材・執筆:佐倉 ひとみ
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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