- odekake
- 2019/05/31
鎌倉駅西口から徒歩5分の場所にある「みゆきパン」は、店主のみゆきさんがひとりでパンづくりを行う、週に3日だけ開く天然酵母パンのお店です。健康とパンへのこだわりとお客さんへの優しさがあふれる「みゆきパン」は、鎌倉の町のようにどこか懐かしくて優しい場所でした。
目次
鎌倉で週3日だけひらくパン屋さん「みゆきパン」
大仏やお寺などの観光スポットがたくさんある鎌倉は、紫陽花や紅葉など四季を通して楽しめる自然の魅力がつまった街。なかでも鎌倉駅西口の御成通りは、昔ながらの雑貨屋やカフェなどのお店があり、懐かしさを感じられる通りです。
今回のお目当ての「みゆきパン」は、その御成通りを抜けてすぐの場所にありました。
「みゆきパン」は、週に3日だけひらくパン屋さん。もともとは、東京で会社員をしていたという店主のみゆきさんが、「いつかは自分のお店を開きたい」という夢を叶えた場所でもあります。
鎌倉で生まれ育ったみゆきさんがこの場所を選んだのは、「鎌倉のちょうどいい田舎感」が自分にとって落ち着く場所だったから。
ショーケースがメインのつくりになっている「みゆきパン」は、4畳ほどの小さな空間。みゆきさんがひとりでパンづくりを行なっているため、週に3日と営業日を決めているんだそう。細く長くやっていくためだけじゃなく、ひとつひとつのパンを丁寧につくりたいという思いが込められています。
子どもからお年寄りまで食べられる天然酵母パン
もともとはケーキやお菓子をつくるのが好きだったみゆきさんが、ケーキ屋さんではなくパン屋さんを選んだのは、お菓子よりももっと身近なものを提供したかったから。
そして、毎日口にするものだからこそ、おいしいだけでなく、子どもやお年寄りも食べられるような体に優しいパンであることを大切にされています。
「みゆきパン」のパンは、添加物を使っていません。山の麓で自生する「野生酵母」と深海に存在する「海洋酵母」を使うことで、もっちりとした食感をつくり出しています。
曜日や天候に合わせてつくるパンの数を変えているため、「たくさんつくる日には朝3時半から起きて仕込みを始めることもあるんです」とみゆきさん。パン屋さんは朝が早いというイメージはあったものの、あまりの早さに驚き。
「だから雨の日は少し朝寝坊できちゃうんですよ」とお茶目な一面も見せてくれました。
パンのアイデアのもとは、「食べるのが好きなこと」
「みゆきパン」のパンは、竹炭やシリアルを使ったパンなど、一般的なパン屋さんのラインナップとは少し違います。それは、みゆきさん自身が食べることが好きで、日々いろんな食材とパンの組み合わせにチャレンジしているから。
最近つくったパンの中では、「竹炭のうずまきパン」がみゆきさんのお気に入り。竹炭には体内の余計なものを排出してくれるデトックス効果があると教えてくれました。健康にも気を遣いながら、おいしいパンが楽しめるのは嬉しいですよね。
朝ごはんにぴったりの食パンにもさまざまな種類があり、もっともシンプルな食パンは、ふんわり・さっくりな食感の塩麹を使った食パンと、もっちり・しっとりとした食感が楽しめる甘麹を使った食パン。その日の気分に合わせて食パン選びをする生活、憧れちゃいますね。
その他にも、抹茶と白あんを練りこんだ「抹茶かのこパン」やポリフェノールを豊富に含んだブラックココアとチョコチップが練りこまれまた「ブラックココアのパン」など、どれも食べてみたくなるものばかり。
おしゃれなお店のひみつは、夫婦間のリスペクト
「みゆきパン」の雰囲気をつくっているのは、店内のおしゃれなインテリア。
みゆきさん:「内装はほとんど夫が手がけているんです。パン以外のことはすべて夫に任せて、わたしはパンづくりに専念していました」
夫婦という信頼関係があるだけじゃなく、お互いの仕事への尊敬や理解があるからこそ、このお店ができたんだなあ。と、店内を見渡しながら感じました。
入口ドアの手書き文字は、「みゆきぱん」のコンセプトや内装に合わせてみゆきさんの選んだデザイナーさんが書き下ろしたもの。ガラス部分を自らデザイナーさんのもとへ持って行き、描いてもらったんだそうです。レトロな雰囲気と手書きの親近感が、「みゆきぱん」のイメージにぴったり。
予約もリクエストも、お客さんへの愛情
11時半までには当日分のパンが焼きあがり、店頭に並べられます。そのため、12時のオープン時が一番種類も数も多く、パンが無くなり次第お店も閉店なので、早めに行くのがベター。
「欲しいパンがなかった」と言われることが増えたことから、みゆきさんはパンの予約を受付けはじめたんだそう。電話もしくはメールで好きなパンを予約注文することができるので、あらかじめ欲しいパンが決まっているときは連絡しておくといいかもしれません。当日に取り置きをしてもらいたいときは電話のみの対応、受け取りは14時までなので注意してくださいね。
小さなお店で予約販売をするのは珍しいこと。「せっかく来てもらった方に買ってもらえないのは申し訳ないから」と、みゆきさんのやさしさと人柄あってこそだと感じました。
予約だけじゃなく、常連さんからのリクエストで、お客さんの好みに合わせてパンをつくることもあるんだそうです。パンつくりだけじゃなく、お客さんへの愛情がたくさんつまったお店だということがすごく伝わって来ました。
「ここのパンが一番すき!」や「友達からパンをもらって、おいしかったから来ました」と言われることもあり、お店をやっていてよかったなと感じる瞬間だとみゆきさんは話していました。
そして、「みゆきぱん」という名前のおかげでいろんな地域のみゆきさんと出会うことができたんだそう。たしかに、自分と同じ名前のお店は気になってしまいますよね……!
おいしいパン、鎌倉散策の途中でいただきます
「みゆきぱん」を後にして、パンを抱えて鎌倉を散策することに。由比ヶ浜へ向かう途中の公園で、紙袋を開きました。今日買ったパンは、ドライイチゴの入ったいちごのマフィンと甘麹の食パン、竹炭のクリームチーズパンの3つ。
ドライイチゴの入ったいちごのマフィンは期間限定のもの。今日で終わりと聞いたので、すかさず購入! 「みゆきぱん」は旬のフルーツを使ったパンが多いので、季節によって出会えるパンが違うのも魅力。甘酸っぱくてさっぱりとしていて、マフィンはもちっとした新食感!あっという間に完食してしまいました。
本当は、コーヒーを買って海辺のベンチでパンを……なんて思ったのですが、湘南エリアの海はトンビが多くて有名。この日も食べ物を狙って旋回していたので、断念しました。
潮風の中で日光浴をして、帰路につきました。
家に帰って袋を開けた瞬間、ふわっとパンのいい香り。食べたい気持ちをおさえて、翌日の朝ごはんのお楽しみにすることにしました。
パンの香りに包まれる、しあわせな朝
ゆっくりと目覚めた翌日、オレンジピールが入った竹炭のクリームチーズパンと甘麹の食パンを厚めに切ってトースターで温めます。温めていると、部屋いっぱいに優しい香りが広がりました。
サクッという音と、もっちりとした食感。食べ応えがあるのに軽いのは、天然酵母を使っているからなのかなあ。何もつけなくても、パンの甘みだけで食べられます。
今度は、塩麹の食パンと食べ比べをしてみよう。
竹炭のパンは、ふんわり食感で甘さ控えめ。さっぱりとしたクリームチーズに甘く煮たオレンジピールがよく合います。
果物の皮を使ったジャムは少し苦いイメージがあったけれど、これはまったく苦くなくて、とても自然な甘さ。ひとつひとつ丁寧にパンをつくっているんだろうなあ、とオレンジピールを煮込むみゆきさんの姿が浮かびます。
こんなパン屋さんが近くにあったら、毎日の楽しみ方も少し変わりそう。「今日はどんなパンがあるのかな?」と、毎朝通うのもいいなあ。憧れの鎌倉ライフに夢が膨らみます。
今度はどんなパンとの出会いがあるんだろう。新しいパンと、みゆきさんとのおしゃべりが今から楽しみです。
Miyuki pan(みゆきパン)
神奈川県 鎌倉市由比ガ浜2−4−38
TEL:080-8837-8180
営業時間:10:30-16:00
定休日: 月・火・木・日
※お休みは月によって変動があります。詳しくは公式Instagramをご確認ください。
http://miyukipan.com/
取材・執筆:橋本 結花
※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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