目黒川「yack yack books(ヤックヤックブックス)」ー 大人がたのしい絵本専門店 | 女性の一人暮らし・賃貸物件なら【Woman.CHINTAI】    
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目黒川と桜と絵本、わたしだけのお花見 ― 「yack yack books(ヤックヤックブックス)」

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川沿いに咲く桜で有名な目黒川。お花見の季節は人であふれてしまいますが、目黒駅周辺の目黒川沿いは、ちょっとした穴場。人の群れで押し合うことなく散策ができます。

目黒川桜まつりの桜とちょうちん

今日訪れたのは駅から徒歩10分程度の川沿いにある、絵本専門店「yack yack books(ヤックヤックブックス)」。

絵本屋「yack yack books」の外観

もともと倉庫だった場所を改装して作った、こぢんまりとした絵本屋さん。店内から外を眺めると、川沿いに連なる桜が目に飛び込んできます。

絵本屋「yack yack books」の店内から見える桜の木

(こちらの記事は、2019年4月に画像を追加いたしました)

人混みを避けて歩く目黒川。お花見スポットは絵本専門店

年に一度のお花見シーズン。直前までわからない満開情報をこまめにチェックし、この時期ばかりは桜にスケジュールを合わせます。上野公園、新宿御苑など東京には桜の名所がたくさんありますが、有名スポットはいつも人だかり。普段ならのんびりお散歩できる、中目黒駅を降りてすぐの目黒川沿いも順序が決められて、遊園地のアトラクションを待つような行列です。

目黒川桜まつりの様子

「人混みは疲れてしまうけれど、きれいな桜を見て歩きたい」と思ったら、目黒駅付近の目黒川沿いがおすすめです。JR目黒駅西口を出て、雅叙園方面へ坂を下ると、5分ほどで目黒川に到着。ここなら好きな場所で立ち止まり、桜に近づいて写真を撮る余裕もあります。

五反田方面へ並木道を歩いていく途中で、「yack yack books」と書かれた細長い看板を見かけました。

目黒駅から絵本屋「yack yack books」へ向かう途中

入り口左側にあるレトロな看板には植物が巻き付き、下にはジブリ映画に出てくるロボット兵の頭が、ちょこんと置かれています。入り口のガラス窓には、しっぽがくるん、と丸まった可愛らしいサルのイラスト。陶芸教室とマンションに挟まれた場所にある、コンパクトな絵本専門店です。

絵本屋「yack yack books」入り口のロゴ

中はどうなっているのだろう。隠れ家のような佇まいが、好奇心をかきたてます。

大人にもたのしんでほしい。海外の作品も扱うお店

絵本屋「yack yack books」の店内の様子

お店に入るとすぐに目を引くのが、緑色に塗られた壁。壁に立てかけるように、絵本が賑やかに並んでいます。これらはすべて、オーナーでラジオナビゲーターの山中タイキさんがセレクトしたもの。

山中さん:「表紙の絵を見て『いいな』と思った本を、飾るようにお店に置いています。特に、日本ではなかなか手に入らなかったり、ほかの本屋さんではメインで置かれなかったりする本が多いです」

絵本屋「yack yack books」の絵本のディスプレイとオーナー

山中さんは以前ロンドンの美術学校に留学していました。留学先で各国の絵本を集めていた時、デザインや構成、ストーリーなど「子どものためだけに作られているわけではない」と思った感覚が、今もお店のセレクトに反映されています。

山中さん:「海外で好きだと思った種類の絵本が、日本ではあまり販売されていなかったんです。それなら自分が良いと思った絵本を販売してみようと思い、絵本専門店を開きました」

絵本片手にゆったりお花見

並べられた絵本を眺めながら、目線をお店の外に出すと、目の前にはたわわに咲いた桜の花。可愛いイラストと華やかなピンクの花びらに、自然と心も弾んできます。絵本は、春をテーマに選んでみるのも楽しいかもしれません。「この時期に合いそうな絵は何だろう」と、手に取って試し読みしたり、桜を背景に表紙を眺めてみたり。気になる絵本を見つけて、顔を上げては桜を眺める。そんな贅沢なひとときを過ごすことができます。

目黒川桜まつりでレモネード

桜の開花時期には、レモネードなどの飲み物が店頭で販売される予定とのこと。お気に入りの絵本を買ったあとは、レモネードを片手にまた、桜の咲く道を歩くのも楽しそう。

生活のワンシーンに、インテリアにもなる絵本を

絵本を壁に立てかけている理由は、「絵を楽しんでほしい」という山中さんの想いからきています。パッと見た時に表紙が目に飛び込んでこれるよう、配置を工夫しているのだそう。

絵本屋「yack yack books」の絵本のディスプレイ

山中さん:「絵本は読むだけでなく、インテリアにもなるんです。家のリビングなど、表紙が見えるように飾っておくと絵として楽しめますよ」

絵本屋「yack yack books」で取り扱っている絵本

額縁に入った絵を買うのは少し値段が張るけれど、絵本なら輸入品でも3,000~4,000円。

「もちろん読んでも楽しいし、読んでいない間でも、飾るだけで部屋の雰囲気が変わります。この店を通して、絵本が“生活のワンシーン”に入ることが理想です」

絵本のたのしみは「余白」を想像するたのしみ

訪れた日に飾られていた絵本は、やわらかなタッチのものが多くありました。また、日本語・英語のタイトルが描かれた本が、一緒になって飾られています。

山中さん:「基本的にはオリジナルの言語で置きますが、日本語で読んだ方が伝わるものや、タイポグラフィなどデザイン的に問題ないものは、日本語訳された絵本を置いています。またイタリア語など、ほかの言語になると読者がかなり限られてしまうので、日本語で仕入れるようにしています」

絵本屋「yack yack books」で取り扱っている絵本

中にはタイトルも、作者名も一切書かれていない表紙の絵本も。ピンク色の背景に、サイ、ペンギン、バクなどさまざまな動物がユニークに描かれていて、本当に絵画のようです。この本の絵はオランダのイラストレーターが描いたものだそう。動物の特徴をユニークに説明した、英語の絵本です。描かれている動物の表情がやわらかく、見ていると気持ちも温かくなります。

文字の無い表紙に驚いていると、「なかには文章の無い絵本もあるんです」と山中さん。

絵本屋「yack yack books」オーナーが絵本を手に取る様子

山中さん:「絵本の良さは、全てを語りすぎていないところにあると思います。読者によって自由に想像できる、『余白』があるんです。一つの絵本をどうとらえるかは読者次第。そういった想像力を楽しんでもらえるといいな、と思っています」

文章がないから広がる想像の世界

「この本、すぐ終わるのでちょっと読んでみてください」と紹介されたのは一冊の絵本。タイトルは「サルくんとお月さま」、大きな月を、サルが背負って木登りしている表紙です。

絵本屋「yack yack books」で取り扱っている絵本
「サルくんとお月さま」谷口智則(文溪堂)

ページを開くと、一面いっぱいに絵が描かれていました。どんどんめくっていっても、出てくるのは絵のみです。あっという間に見終わってしまい、なんだか心が置いていかれてしまったような気分。

「一体どんな内容の本だったのだろう」。改めて最初に戻り、「この絵はどんなことを言っているのか」を考えながら読み進めてみました。すると、最初は意識せず通り過ぎていた絵から、不思議とメッセージが聞こえてきたのです。

山中さん:「大人になると『これはどういう作品なのか』、誰かの説明を聞きたくなりますよね。けれど絵本を読む時は『自分は何を感じたのか』を大事にしてもらいたいです。『この本はどういう話なのか』は、自分のとらえ方次第で変わるかもしれないですよね。自分が感じたことを、素直に感じてほしい。それが絵本の『余白』なんだと思います」

絵本屋「yack yack books」の店内の様子
ゆっくり椅子に座って物語を想像する

「どんなお話だと思いますか?」と山中さんから質問された時、最初はどう答えたらいいか少し戸惑ってしまいました。自分が勝手に想像した解釈が、間違っていたらどうしようと不安になったからです。でも、答えは一つではありません。きっと読んだ人の数だけ「サルくんとお月さま」のお話があるのでしょう。

ほかの人が見たら、どんなストーリーを考えるのだろう。身近な人と解釈を共有したら、その人の新しい一面も見れるような気がしました。

絵本専門店は「メディア」のような存在

サッと見てすぐに買っていく人もいれば、あらゆる絵本をじっくり眺め、時間をかけて一冊を選ぶ人など、お客さんの過ごし方はさまざま。

絵本屋「yack yack books」のレジまわり

どんな本を買おうか迷ったら、「オススメはありますか」と聞いてみてください。どんなものが好きか好みを聞いて、絵本をセレクトしてくれますよ。

絵本屋「yack yack books」の絵本のディスプレイとオーナー
自分で選びたい人が多いため、基本的にはあまり話しかけないようにしているのだそう。

お店の主な営業日は日曜日。山中さんはラジオ番組のナビゲーターとして働く傍ら、このお店を営んでいます。ナビゲーターと絵本専門店の共通点を聞くと「好きなものを紹介するメディアのような存在であること」と返ってきました。ラジオ番組でも、お店でも、「素敵だな」と思ったものを紹介していく。ナビゲーターもお店も、アーティストとお客さんを繋げる橋渡しのような役だと言います。

絵本屋「yack yack books」の平積みの絵本たち

「絵本の定期便」で、日常に物語を

ぜひチェックしてほしいのが「絵本の定期便」。毎月1回、店頭で販売している本を1~2冊選び、購読者へ郵送で送ります。絵本のチョイスはもちろん山中さん。その月のイベントに合わせた内容や、思い浮かぶ内容をもとに選んでいるそうです。

絵本屋「yack yack books」の絵本のディスプレイ
2月に送った本は、バレンタインにちなんで恋の話の絵本「THE DAY I BECAME A BIRD」(写真手前)

顔をあげたら桜の花と空。絵本の世界に思いをめぐらして

店内は壁と中央に本が並べられ、ソファや椅子もおいてあります。ヨーロッパのカフェにいるような、またはメルヘンの国にいるようなBGMも流れています。「散歩ついでに立ち寄って、気になったものがあれば座って見ていってください」と山中さん。

絵本屋「yack yack books」の店内の様子

レジ横のソファに座ると、入り口の向こうに目黒川が見えました。ここで気になった絵本をパラパラ眺め、「どんなことを伝えているのだろう」と、思いを巡らせてみるのも楽しそう。ふと顔をあげれば、うすいピンク色に染まった桜が、想像力をかきたててくれるかもしれません。

yack yack books(ヤックヤックブックス)

東京都目黒区下目黒2-9-24 三徳ビル1F
営業時間:不定営業(主に日曜日) ※随時Instagramにアップしています。
https://yackyackbooks.tumblr.com/
Instagram

取材・執筆:もりや みほ

※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。

※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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