素敵な服を買うように、街のフリーマガジンをつくる(後編) ― 「もとすみマニアックず。」山川みずき 【Woman.CHINTAI】
 
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素敵な服を買うように、街のフリーマガジンをつくる(後編) ― 「もとすみマニアックず。」山川みずき

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元住吉を題材にしたフリーマガジン「もとすみマニアックず。」編集長の山川みずきさん。今回は、彼女のお話が聞きたくて元住吉までやってきました。

インタビューの前編はこちら

元住吉育ちの3人の若者が手掛けるフリーマガジン『もとすみマニアックず。』。記念すべき第一号が発行されたのは、2016年4月のことでした。

当時を思い出し「本当に大変でした。無事に発行できたのは奇跡ですね」と笑うのは、編集長の山川みずきさん。現在の『もとすみマニアックず。』メンバーが久しぶりに再会し、「私たちでフリーマガジンをつくろう!」と居酒屋で盛り上がったのは2015年の夏。そこから実際に創刊にこぎつけるまで、半年以上の期間が空いたことになります。

山川さん:「ずっと雑誌制作に憧れてはいましたが、専門的に編集やデザインを勉強したことはなかったんです。他のメンバーも似たようなもので。一歩進んでは二歩下がる、手探りの数ヶ月間でした」

私たちを育ててくれたのは、取材先の方々かも

『もとすみマニアックず。』は16ページ。B6サイズの小冊子というミニマムな形態をとりながら、印象的な写真が大胆に使われ、レイアウトや全体の構成も独特です。詩のようなテキストや、コラージュのように写真上に配置された手書き文字など、アートな雰囲気なのかな? と思いきや、巻末には山川さんたち3人による「よっぱらい会議」なるコーナーがあったりして、ひとことで言うととにかく「自由」!

山川さん:「雑誌づくりのセオリーをほとんど知らない集まりが、素直にやりたいことを全部やったらこうなった、みたいな(笑)。持ち帰りやすくて、部屋のどこかに置いてあっても邪魔にならない大きさがよかったからB6サイズにしました。小さい誌面だからこそ、ちまちましたレイアウトにはしたくなくて。説明的な写真も一切入れていません。お店の『情報』ではなく、私たちが感じた、そのお店の『雰囲気』や、店主の『魅力』が伝わるようなビジュアル、テキストにはこだわっています」

専門知識はなくとも、感性の赴くままにつくったからこその躍動感が『もとすみマニアックず。』にはあります。とは言え、こういった雑誌は取材先の協力があって成り立つもの。ある「雑誌づくりの常識」について、取材先から指摘を受けた苦い思い出も。

山川さん:「掲載したお店の位置関係や、店主の経歴の一部といった基本的な情報が間違っていたんです……そもそも、一度も記事の内容をお店の方に確認することなく印刷にまわしてしまったんですよね。『こういうものをつくるときは、内容に誤りがないか取材先に確認するものだよ』と言われて、はじめて『そうなんだ……!』って。増版分から正しい情報に差し替えました……毎号、反省しながら制作を進めています」

この店主の方は山川さんたちに苦言を呈しつつも、「応援してるよ、頑張って」と言ってくれたのだそう。

山川さん:「取材先の方々が私たちをあたたかく見守ってくれたから、失敗も次号に活かそうと前向きでいられたんだと思います。皆さん、すごく優しいんですよ」

ここに住む人が好き。だから、私はこの街が好き

昨年冬には第三号が発行された『もとすみマニアックず。』。取り上げたお店からのリクエストもあり、既刊も増版を繰り返しています。元住吉に暮らす人々、そしてフリーペーパー好きの間での認知度が高まっていく中で、山川さん自身の「街の楽しみ方」も変わっていったと言います。

山川さん:「バインミー屋さんやカフェ、花屋さん。なぜ元住吉にお店を構えようと思ったのか、オープンまでにどんな経緯があったのか……取材を通して、店主の方が歩んできた道や素敵なエピソードを知って、一層、それぞれのお店に愛着を持つようになりました。同時に、やっぱり街って人で成り立ってるんだなぁって。その実感がより深まった気がしています」

山川さんにとって『もとすみマニアックず。』は、自分の中の「いいな、好きだな」をアーカイブする媒体でもあるのだそう。

山川さん:「個人のブログで、住んでいる街を切り取った写真や文章を発信する感覚に近いかもしれません。元住吉にもっとたくさん人がきてほしい! というわけではないし……。私が感じる『この街が好きだな』は、言い換えると『ここに暮らしている人が好きだな』なんです。だから、元住吉以外の街でも、いいなと感じるお店があったら働いている方に声を掛けるようになりました」

川崎市国際交流センターにて

今後は、元住吉に限定せず、他の街の『マニアックず。』もつくってみたいと意気込みます。

山川さん:「外に目を向けることで、新しく発見できる元住吉の一面もあるはず。今の距離感を保ちながら、元住吉にも関わり続けていたいです」

元住吉の街並み

取材終了後、傍らでインタビューを見守っていたカフェ「オレンジブルー」の店長が、ポツリとこう呟きました。「あの子が、こんなにしっかりしたことが言えるようになるなんてねぇ」。

『もとすみマニアックず。』創刊時から山川さんを知る店長のあたたかい眼差しからも、山川さんと、元住吉に暮らす人々とのつながりを感じることができました。

再び東急東横線に乗り込み、自分の暮らす街に帰る道中で、山川さんの言葉を思い出します。

「街」と関わることは「人」と関わること――
自分なりの関わり方を見つけたら、毎日の楽しみが増えるのかもしれないな。

車窓を流れる、まだ知らない街の景色を眺めながら、ぼんやり考えたうららかな一日でした。

川崎市国際交流センターにて

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素敵な服を買うように、街のフリーマガジンをつくる(前編) ― 「もとすみマニアックず。」山川みずき

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取材:佐藤 有香 写真:土田 凌 編集:菊地 飛鳥 企画構成:haletto編集部

カフェ オレンジブルー

神奈川県川崎市中原区木月住吉町7-48 メゾンFM101 1F
営業時間:12:00-23:00
定休日:不定休
https://www.facebook.com/orangeblue214

※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。

※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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