【scene 01 ― そこへ、東京トランジット】いつもと同じ日々を、いつもと違うところで ― ひとりで過ごすhouse 【Woman.CHINTAI】
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【scene 01 ― そこへ、東京トランジット】いつもと同じ日々を、いつもと違うところで ― ひとりで過ごすhouse

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haletto house

「特別なことは何もしない」と決めて、わたしはひとりhaletto houseを訪れました。江ノ電で腰越駅に着くと目の前には民家が並んでいます。不思議な安心感と懐かしさを思い出していました。街にせわしなさは一切なく、都心から1時間ちょっとでこんなにゆるやかな時間が流れている場所があることに、少し拍子抜けしていました。

一軒家にひとりで泊まるのは少しドキドキしましたが、チェックインをして一通り家の中の探検を済ませたら、まるでおばあちゃんの家に来たような感覚になりました。昭和の造りの家で、自分の家じゃないけれど自由にしてもいい家だからでしょうか。

腰越

腰越漁港

ひと休みをしてから、街を散歩することにしました。初めての街は歩いて探検するに限ります。目的地も2つだけ決めました。ひとつは腰越駅のお隣、江ノ島駅の前にあるパン屋さんです。明日の朝食はパンにしようと、さっき決めました。もうひとつは、夕陽を見ることです。よく晴れたこの日はきっときれいな夕焼けが見えるはず、そう期待をしながら、玄関を出ます。

家から50歩も歩かずに海が見えてきます。すぐ近くにある腰越漁港には一日の仕事を終えた船がたくさん並んでいて、夕暮れに向かう太陽がキラキラと水面を照らしています。眩しくて、目を細めてしまいました。海へ近づくと鳥たちが水浴びをしていて、太陽の方角には江ノ島が見えます。眩しいけども、どこか厳かな太陽の光はまるで心が洗われるようでした。

腰越海岸

きれいな夕陽に後ろ髪を引かれつつ、街を目指して散歩を続けます。日没まで、そんなに時間が残っていないなら、暗くなる前にもう一度海を見たいと思ったからです。

江ノ島駅に着くと、たくさんの人が写真を撮っています。夕方なのに観光で来ている人が多くて、びっくりしました。わたしはというと、目的地のひとつ、パン屋さん「Street Cafe reto」で玄米の食パンを買いました。車を改造したお店で、バックドア部分にはパンがずらりと並んでいます。カフェスペースが併設されていて、写真を撮るカップル、文庫本を片手にコーヒーを楽しむ女性、メロンパンを分け合う親子、みんな思い思いにその時間を楽しんでいます。時間があればコーヒーをゆったり飲みたかったのですが、日没まで時間の余裕がなかったので足早に江ノ島駅を後にしました。

江ノ島駅

海辺に戻り、今度は砂浜の波打ち際まで歩きます。残念ながら太陽はすでに江ノ島の向こう側に顔を隠していたのですが、少しここで時間を過ごすことにしました。まだ暗くはない砂浜には人もまばらにいるので、ひとりきりじゃないんだと感じられる安心さもあります。少年たちが野球をしていたり、女子高生がおしゃべりしていたり、犬と散歩をする人がいたり、ここで暮らすとこういう風景が日常になるのでしょうか。

一方で、わたしはひとりで海と空を見るだけです。何度も打ち寄せる波がつま先まで来たら少し驚いてみたり、雲が江ノ島にかかっていく様子を見て時間の経過を感じたりしながら、ただ波の音を聞いて目の前の海と空を眺めていました。

4時半の夕焼け小焼けのチャイムを合図に、帰ることにしました。少しだけお菓子を買って、ちょっと早いごはんを食べて帰ることにします。夜ごはんはhaletto house近くの「しらすや 本店」でいただきました。昼間は行列ができるとのことですが、夜はすんなり入れます。一人でも変に気を遣われることはありません。

玄米パン

お茶

家に帰ってからは、とにかくのんびり過ごしました。お茶やコーヒーとお菓子を片手に読めていなかった本を読んだり、気の向くままにお風呂に浸かって頭の中の考え事をお湯と一緒に全部流してみたり、たっぷり時間を使ったはずなのに眠くなった時間は日付が変わる前です。いつもならまだ起きていたいと思うのに、と思いながらお布団に入ることにしました。明日は早起きして朝日を見に行く予定だからです。

翌朝、起きたら7時を回っていました。もう太陽が出ている時間です。急いでおすすめスポットのこゆるぎビーチへ向かうと、5分もかからず到着しました。歩道から砂浜へ進んで、昨日の江ノ島側とは反対の方角に昇り出していた太陽を眺めます。日光を浴びるどうしてこんなに元気になれるのでしょうか。たっぷり眠ったあとだと、より一層元気になれる気がしました。「太陽はすごいなあ」なんて考えながらしっかり日の光を浴びたら、海辺の歩道を散歩して一度おうちに戻ります。楽しみな朝ごはんの時間です。

腰越

キッチンに置かれたバルミューダのトースターを見つけたときから、朝ごはんはトーストにしようと決めていました。昨日江ノ島駅まで買いに行ったパンを取り出し、お菓子と一緒に買ってきたチーズを乗せて、トースターでチーズがぐつぐつするまで焼いていきます。その間にコーヒーも準備して、焼きあがったらいただきます。

カリカリのパンと、とろーりチーズがたまりません。幸せはこんなところにあったのか、と小さな喜びを感じながらいつもより時間をかけてトーストを食べました。

バルミューダ

トースト

お皿を洗って、帰る準備を済ませたら名残惜しむように、もう一度散歩へ出かけます。

今度は江ノ島と反対方面、七里ヶ浜駅を目指します。冬のはじまりなのに眩しすぎる太陽に目を細めながら、途中の鎌倉高校駅前で江ノ電と海や有名な踏切の写真を撮って、七里ヶ浜駅で折り返しました。

腰越

海

帰り道、驚きました。晴れた空に富士山が見えたのです。江ノ島の近くから富士山が見えるなんて知りませんでした。あまりに感動したわたしは語彙力を失って「すごい、すごい」と一人なのに呟いていました。横を通り過ぎる車の音に、声がかき消されていたことを願うばかりです。

haletto houseにいる間「あ、ここ自分の家じゃなかったんだ」と思い出すことが何度かありました。泊まりに来ていることを忘れてしまっていたのです。街を歩いて、おいしいごはんを食べる。ここでしたことは、普段東京でやっていることと大きな違いはありません。違うのは気持ちの穏やかさと場所だけです。

帰ってからもこの気持ちを保てるようにしよう。そのちいさな決意と穏やかな気持ちを一緒にカバンに詰め込んで、わたしはhaletto houseを後にしました。

海

取材・執筆:ツチヤ トモイ

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※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。

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