【山崎あおいの日日是好日】第8話：深夜、テラスハウスへの想いだけで曲はできる。

シンガーソングライター、作詞・作曲家として活躍する山崎あおいさんが、北海道から上京してからの暮らしをエッセイとして綴る好評連載。第8話は、山崎さんが毎週楽しみにしている「テラスハウス」のエピソードについて書いていただきました。

週に一度のお楽しみ

平日も土日もなく、気ままに働くわたしの曜日感覚を司る唯一のものは、毎週火曜日にNetflixで配信される「テラスハウス」だ。

月曜日はどんなに眠くても24時まで起きておいて、なるべく、更新と同時に見る。翌日、テラスハウスファン仲間の誰かしらに連絡して「あの告白はないよね」などと盛り上がる。それが一週間で一番の楽しみなのだ。テラスハウスに入居した時のために、自己紹介ソングも作ってしまうくらい。

痛いファンだと自覚している。

先週の月曜日も、更新を待ちながら夜更かししていた。「カイ君」という、ロン毛で掴み所のない、お気に入りの住人（メンバー）のデートが予定されている回だったこと、そしてちょうど作詞の締め切りに追われていたこともあり、その週のテラスハウスは1週間今か今かと待ち焦がれたものだった。

カナダ・オンタリオ州に宿敵アリ

２４時。詞の提出も間に合わせて、がんばったご褒美だ…とウキウキでNetflixにログインしようとすると、なぜかいつものパスワードでは開かない。思い当たる文字列を闇雲に入力してみるも、どれも空振り。嫌な予感がしてメールボックスを開いてみると、

やられた。カナダのオンタリオ州で不正ログインされていた。しかし、サポートセンターは翌朝まで閉まっている。どう足掻いたって、今夜のテラスハウスはお預けだ。

心底がっかりした。

ふつふつと湧いてくる怒りをどう処理して良いものかわからず、深夜のよくわからないテンションも手伝って、やはりこれも曲にした。仮の曲名は「許さない」。ちゃんとカナダまで恨み辛みが伝わるよう、全編英語の歌詞にして、ちゃんとレコーディングしようと思っている。

イライラの先に

翌日、サポートセンターの親切な対応のおかげで、無事にログインすることができた。
テラスハウスも見ることができた。

本当に落ち込んだ夜だったけれど、まあ、曲もできたし、よしとするか。
それにしても最近、テラスハウスでばかり曲を書いている気がするな。

著者：山崎あおい
札幌出身、26歳のシンガーソングライター。2012年8月メジャーデビュー。透明感のあるピュアな歌声と、リアリティをもったセンチメンタルな歌詞が同世代をはじめ、幅広い層の男女に支持を受けている。また、多数のアイドルグループへの楽曲提供を中心に作詞家、作曲家としても活躍中。
Twitter：@aoi_punclo
公式ホームページ：yamazakiaoi.jp