谷中「手打ち蕎麦 やなか」手打ちそば体験で長寿祈願|おでかけ、年納めの街へ 第3話 | 女性の一人暮らし・賃貸物件なら【Woman.CHINTAI】    
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谷中「手打ち蕎麦 やなか」手打ちそば体験で長寿祈願|おでかけ、年納めの街へ 第3話

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年越しそばってどうしてる? つい先日、職場の同僚たちとそんな話題になった。乾麺、カップそば、中には、大晦日にはラーメンを食べて、それを年越しそばということにしている人もいた。

かくいうわたしも、年越しそばという年中行事への意識は低い方。大晦日に実家に帰省していないと、なかなか食べない。

谷中の言問通り

でも、今年はひと味違う。大掃除の準備は万端だし、新年を迎えるためのうつわも用意した。「正統派の年越し」を完成させるべく、手打ちのおそばを食べにいこう。

近所に手打ちそばのお店がないか調べてみたら、石臼自家製粉の手打ちそば屋さんを発見。そば打ち体験もできるようで、せっかくなので申し込んでみた。

手打ち蕎麦やなかの外観

「手打ち蕎麦 やなか」は、根津駅から歩いて5分。言問通りにある落ち着いた雰囲気のお店だ。到着すると、手渡されたのはそば打ち用の作務衣と前掛け。「手を洗ってからこっちに来てね!」と明るい女将さんが案内してくれる。

作務衣に腕を通し、前掛けをキュッと締めると気分が出てきた。作業用の大きなテーブルの前には、今回の先生であるそば打ち職人のご主人が。最初に、粉の配合について教えてくれた。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の粉配合

「そば粉にはグルテンが含まれていないから、つなぎに小麦粉を使うんだ。今回はそば粉と小麦粉が8対2だよ。二八蕎麦って聞いたことあるでしょ?」

大きな木鉢の底は朱色なので、小麦粉の色とそば粉の色の違いがよく分かる。茶色味を帯びたそば粉は、店頭の石臼で時間をかけてひかれ、そのあと丁寧に粉ふるいにかけられたもの。

手打ち蕎麦やなかの石臼

まずは「水廻し」からスタート。粉に水を加えると、そば粉のいい香りがふわりと漂った。コツは、あまり水に触れないように粉と水をなじませていくこと。手を広げ指先を立て、腕を使って素早く回し、粉全体に水をまんべんなく行き渡らせていく。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験

次第にほろほろと固まりだし、ご主人の仕上げでひとつの大きな固まりに。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験

次の工程は「練り」。手のひらの付け根を使って生地を練り上げる。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験

生地を伸ばす前に、しなければならないのが「菊練り」と「ヘソ出し」。生地に弾力を付け、なめらかに仕上げた上で余分な空気を抜く、重要な工程なんだそう。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験菊練り中

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の菊練り完成

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験のヘソ出し中

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験のヘソ出し完成

「そば打ちの基本は、『強く・優しく』の繰り返しだよ。それは、生地を伸ばすときも同じだからね」

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦伸ばし

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦伸ばし

力任せでは、そもそも麺棒が上手く転がらないし生地が切れてしまう。両手の親指をくっつけた状態で麺棒を軽く握って、手の中で滑らせながら腕を広げ、転がしていく。この基本の動きを繰り返しながら、生地の厚みを確認して均等に伸ばすことも意識する。思っていた以上に繊細な作業に、だんだん額に汗が。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦伸ばし

「がんばって、上手じゃない」

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の綿棒に巻かれた蕎麦

女将さんの優しい声援に励まされる。麺棒に生地を巻き付けて、均等に伸ばされているか確認したら、いよいよ「切り」の工程へ!

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験切りの準備

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験切りの準備

刃の大きなそば包丁は、持ってみるとかなり重い。ご主人にお手本を見せてもらってから、おっかなびっくり、まな板の前へ。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦切り

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦切り

トン、カン、トン、カン。最初はぎこちなかったけど、少しずつリズムが掴めてきた。「良い音出てるね!」と女将さん。「いいかんじ、いいかんじ」と、ご主人にも褒めてもらえて嬉しい。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験の蕎麦

ちょっと太めだけど、ちゃんとおそばになってる! 感動。

そば打ち体験の後には、自分の打ったそばとご主人の打ったそばを食べ比べられる。やっぱり、ご主人の打った美しいそばは、香りも喉ごしも極上の逸品。でも、多少不格好だったとしても、自分の手で練り上げ、伸ばし、切ったそばもすごく美味しい。

手打ち蕎麦やなかの蕎麦打ち体験Bコース

「はい、これはお持ち帰り用。太さが違うから、茹で時間に気を付けてね」

わたし製とご主人製。ふたつのパックに、それぞれの茹で時間の目安が書かれている。最高のお土産を手に、ほくほく気分でお店を出た。

年越しそばの由来には諸説あって、細く長いそばを食べて長寿を願うという説や、そばは切れやすいので、「今年あった厄を断ち切って帳消しにする」ことを願って食べたという説も。

ここは前向きに、長寿祈願説を推したい。わたしが打ったおそばを、大切な人たちに食べてもらいたいな。帰省はできなそうだけど、久しぶりに実家に電話をしよう。懐かしい人たちに年賀状を書くのもいいかもしれない。

年納めの街に出かけたら、そんなあたたかい気持ちになれた。

手打ち蕎麦 やなか

手打ち蕎麦 やなか

東京都台東区谷中1-1-18
TEL:03-3828-5333
営業時間:11:30-14:30/17:30-19:30(LO)
定休日:木曜
http://www.yanaka-soba.com/index.html

取材・編集:菊地 飛鳥
企画構成:haletto編集部

写真:川瀬 一絵
島根県出雲市出身。忘れっぽいことへの焦燥感から写真を撮り始め、些細な体感を収集するように撮影を続けている。
近所や訪れた先々で適当に散歩して道に迷うのが趣味。

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※この記事は、2019年11月までおでかけメディア「haletto(ハレット)」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。

※金額など掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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